ヤマネコの相棒はライオン4 (ページ44)

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「ボス」

『ソルティアーノ』

「バイクのメンテだけどどうする？」

『あぁ…エンジンが不調気味だよ』

「了解、直すよ」

バイクのキーを預けると、「替えのバイクは？」と聞いてきて『歩いて帰る』と答えておいた
アジトを出た後、アパートまで歩いているとアパートからアッシュが出て行った

しかも、ほんの少しだけふてた顔で

『英二、アッシュが今出て行って…英二？』

部屋に戻り英二に訳を聞こうと部屋に入ってみると、ベッドに腰掛けて肩を落としている英二がいた
英二は私に気づくと、「レオン」とほんの少し安心した顔を向けてきた

『どうかした？』

「…アッシュと、ケンカしちゃって」

『アッシュと？』

「うん…。キミもアッシュも、毎晩帰るのが遅いから」

『あぁ…』

「それで最近武器を捨てて命乞いしている者たちを次々と射殺しているっているニュースがあって…それをアッシュに聞いたんだ…。そしたら」

『自分が人殺しだって言ったってこと？』

「…あぁ」

英二と向かい合わせになるようにベッドに腰掛けると、「キミも、ニュースのこと」と言いにくそうに言う英二に『そうだよ』と答えた

「どうして…」

『…うちの仲間は、裏切ることは絶対になかったんだ
だけど、オーサーのおかげで今はめちゃくちゃだ…奴らは自分が助かりたいばかりに、仲間を売ったんだ
かつて共に生き抜いた仲間を…そのツケを払っただけだよ』

「…キミも、アッシュと同じだね。強者の理屈だ」

『そうかもね』

「みんながみんな、才能に恵まれてるわけじゃないんだ」

『…たしかにそうだね…。私たちの場合は、人殺しの才能だ』

「そんなことない」

『そんなことがあるから、簡単に人を殺せるんだよ』

アッシュならきっとここでムキになっていたんだろう
だけど、英二の気持ちもちゃんと聞かなきゃいけないから、抑えないといけない
そこはまだまだ寛大じゃないよ、アッシュは

「…キミやアッシュは、普通の人間とは違うんだ
君たちには、持たざる者の気持ちはわからないんだ…」

『……そうだね…だけど、裏切り者を許して殺されろって言うの？』

「そうじゃないけど」

『…理屈じゃない、力が全てなんだ…
少なくとも、私とアッシュの世界は力が全てなの』