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おっさんが契約をしている間、俺は部屋から窓の外を見ていた
「何を見てるんだ？」
「あの右側は、コルシカ財団の持ちビルだ」
「なに!?」
マックスが慌てて外を眺めたあと、「大胆な奴だな…もし見つかったら」と言うのを俺は静かに言う
「地下にはスポーツ・ジム、1階はスーパー
外に出なくてもことは足りる」
「しかし英二は結構向こうっ気が強いぜ？
大人しくカゴの鳥になってくれるかな？それに、レオンだってじっとしていられるような性格じゃないだろ？」
「…なってくれなきゃ困るし、レオンにはいてもらわないと困る」
レオンがじっとしてくれるわけがない
アイツは俺が行くところには必ず行くと言うし、ついてくる
だから、いてもらわないと困る
もう、どこにも行ってほしくない…俺の見える範囲でいてもらわないと
.
．
「あそこのことは当分誰にも言わないでくれ
今目立つと危険だ」
「お前はどうするつもりなんだ？」
「知らない方がいい
あんたは頼んだことを調べてくれればいいんだ
本当のことを知りたいんだろ？」
「正直に言えば、俺は恐ろしいよ
なにか、知ってはならないものに突き進んでいるような気がしてな」
「もう遅いよ」
信号待ちに引っかかった後、地下鉄への入り口で足を止めた
「じゃあね、父さん。また連絡するよ」
そのまま地下鉄へ行くと、「随分と早い帰宅だな」と言う聞き覚えのある声が聞こえてきた
「よ、クリス坊ちゃん」
「ルカ…」
「カシミア一式はどうだ？」
「いい仕事だよ、ホント」
「ははっ！ニューハンプシャーでの一番のだからな！」
「で、どうしたんだ？」
「……英二といるの、辞めないんだな」
カツンとローファーの踵を鳴らす音が止まり、俺はゆっくりと振り返る
人はまばらで、俺たちがいる場所には、あまり人がいない
「お前やレオンにとって、英二といることはあまりにも危険だよ…
彼はアキレスの踵だ…このままじゃ、お前もボスもいつかきっと…」
「わかってるさ…」
「……無理だけはしないでくれよ、アッシュ」
それだけ言い残して、ルカは帽子を被り地下鉄から姿を消した
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月8日 16時
