16話 ずっとの時間 ページ22
『…大丈夫、ヤバくなればなんとかする
それにニューハンプシャーにディノも迂闊には手を出してこない
あそこは私がまとめてるし、ディノなんかクソ喰らえだと思ってる奴らも大勢いる…』
「そりゃ、アイツらはマフィアのことをよく知らないからそうだし…」
「ソルティアーノが嬉々として爆撃作りそうだな…」
ユーリのそんな発言に脳内でのソルティアーノが思い浮かび、「ハハハ…」とシェリルが笑った
「まあ、とりあえず戻るよ」
「ボスも気をつけて」
『そっちもね』
下まで見送り、裏にバイクを停めてもらったのを確認した後部屋に戻ると、「あ、レオン」と英二がコーヒーを淹れていた
「アッシュとショーターにコーヒーを淹れたんだけど、キミも飲むかい？」
『いいの？じゃあもらうよ』
「もちろんさ！」
ポットで湯を沸かし、マグカップの中に入れていく
「…レオン、こんなことを言うのもなんだか…ダメ、だと思うんだけど…」
『…どうした？』
「…実は僕、とても戸惑ってるんだ」
『？』
英二がそう言い、私がふと見つめると英二はコーヒーを見つめる
「血と硝煙の匂いにまみれ、容赦なく敵を殺すアッシュと、かぼちゃ嫌いをからかわれて本気で拗ねているアッシュと…
いったいどちらが、本当のアッシュなんだろうって」
『………』
「それともそれらは、矛盾することなく同時にアッシュの中に存在するのか…
僕はときどき、とても不安になるんだ」
『…私もアッシュも、平和とは縁遠い生活を送ってきたから…英二と一緒にいると気が抜けるんだ
だから、自分らしくなれる…ただの年頃の男の子に戻れる…アッシュにとって英二は、心が休まる場所なんだと思う
私とは違って、きっとアッシュは…英二が大好きなんだよ』
「そう、思ってもらえたら嬉しいけど…」
『だから、英二』
「？」
コーヒーを淹れたマグカップを運ぼうとした英二に呼びかける
『もしもこれから、何があっても…アッシュを守って欲しい
英二なりに、できる限り、アッシュのそばにいて欲しい
私もニューハンプシャーのボスだからアッシュと一緒にいる時間は減るかもしれない…だからこそ、その分一緒にいて欲しい』
「………」
『私がアッシュのそばに入れない時、英二がいて欲しい』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年6月8日 16時
