ヤマネコの相棒はライオン4 (ページ17)

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「ホントに日本の豆腐だ」

「あいつら、気を利かしたつもりなんだ」

「うめぇな、これ」

器用に箸を使ったアッシュに「お箸の使い方がうまいね、日本で暮らせるよ」と英二に言われてアッシュは「日本か…」と表情を緩ませた

「お前、家族は？」

「両親と妹が1人」

「へえ…妹？きっと可愛い子なんだろうな」

「ぜーんぜん！可愛くないよ」

『英二が可愛いのに？』

「なんで!? 僕は男だぞ!?」

「日本人は童顔だからな」

「なんだよそれーっ！」

ムキになる英二に3人で笑っていると、「そういうレオンはどうなのさ」と聞いてきた

『腹違いの弟1人だけさ』

「弟なんていたのか？」

「似てなかったもんな」

「シオンのこと？」

『うん…親父はろくでもない奴で、私を娼婦として売り込んだりしてね
得た金で酒を買って八つ当たりのように暴力を振るう人だった
シオンは11だけど、ニューヨークに来たのは9歳だったんだ』

「9歳で」

「ニューヨーク？」

「やるなぁ」

『親父はシオンを売ったりすることもなかったから、何も知らない純粋な子さ…だから巻き込んだことに罪悪感がある』

酒缶をゆらゆらと手の中で揺らすと「そんなことがあったんだね」と英二が聞いて申し訳なさそうな顔をする

『まあ、シオンは頭もいいしいつかは誰かの家に引き取ってもらって勉強させて立派に生きて欲しいんだ
ワシントンで生活してた人間が1番縁遠かったことを、シオンにさせてやりたい』

「…だから金が必要だったわけか」

『私がディノの言いなりになってたのは、シオンのためさ…あとはニューハンプシャーの仲間の家族への仕送りのためにね』

「！」

『私に大切な弟…家族がいるように、仲間の一人一人にも待ってくれてる家族がいる
迷惑をかけないように家に帰ってないけど、せめてそいつらを預かってるから仕送りはしてるよ』

「立派かよ!!」

「シオンは？」

『アジトにいるよ。チェルシーが面倒見てくれてるから大丈夫さ…
落ち着いたらシオンを市警に預けて里子に出すよ』

「…シオンが聞いたらきっと悲しむよ」

『でもそうするしか方法がない…
ディノは私に弟がいるなんてこと夢にも思ってないからね』

「…よく秘密にしてこれたな」

『運がよかったのさ…』

口に含んだ巻き寿司をもぐもぐと食べる
美味しいこれ…シオンにも食べさせたいな