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「ふうん、そうなんだ。ねえ!ねえ!」
立花がカウンターの中の深山に声をかけるが何の答えもない。仕方ないから俺が隣に座っている瑞姫に声をかけるも、なんの反応も示さなかった
「今はね、何を話しても無理だよ。料理しながらね、考えを整理するのが大翔で、そんな大翔を見て考えを整理するのが瑞姫」
たしかに深山を眺めてどこか上の空という表情の瑞姫
俺の知っている瑞姫はこんな顔をしないし、俺以外を見ることなんてなかったのに…
腹の奥で疼くドス黒い嫉妬心を押し殺し「…2人はここの2階に住んでるんですか?」と坂東に聞くと「そう」と頷かれた
「あ?今夜?泊まってく?泊まっ…」
「今夜も今後も100%ありえません」
「…今は、無理だ」
「ないんか、100%。ワンハンドレット…」
坂東がガッカリしていると、「はい〜」と深山が俺、立花、瑞姫の前に料理を置いた
瑞姫はそこで『ん〜、美味しそう』と運ばれた料理を眺めて声を出した
『美味しそう。“自家製そばがきと簡単さつま揚げ”だ』
「瑞姫好きだもんね」
『うん、好き』
箸を手に取り『いただきます』と手を合わせた瑞姫
今の、好きと言う言葉は俺に向けられたわけじゃないのに、胸が熱くなって踊った
「おいしそう…いただきます。ん、んーおいしいー!」
「…うまい」
さつま揚げを一つ食べて俺と立花がそう漏らすと、「ありふれた表現だね」と瑞姫の隣に座った深山が言った
「うるっさい!で、どうするの?裁判3日後だよ」
「シーーーーッ!早く食べな。瑞姫、先休んでてね」
『ん。じゃ、片付けしとく』
「ありがと」
じーっと見ていると「あれれ、あれれ?」と坂東が俺を覗き込んでニヤニヤとしている
「瑞姫?瑞姫好きなの?」
「…………………」
「え、図星?」
言われて俺は顔を背けた。そりゃそうだろ
永遠の愛を誓い合った相手が今、俺の隣に座って蕎麦を食べているんだ。しかも、幸せそうに
「まあ、頑張んなね」
「?」
「瑞姫のガードは固いから」
蕎麦を食べ進めていく瑞姫の隣で嬉しそうに瑞姫を眺めている深山を見て、たしかにガードが固いのはよくわかった
だが俺は知らなかった
この2人の関係も、そして瑞姫がどうして俺のことを避けていたのかも
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サッカーバカ(プロフ) - 雅夢羅撫-ayurana-さん» ありがとうございます!アッシュの登場でさらに楽しい物語になれるよう頑張ります! (2022年1月24日 14時) (レス) id: b3a011a5a0 (このIDを非表示/違反報告)
雅夢羅撫-ayurana-(プロフ) - 続編おめでとうございます!アッシュが出てくるのが楽しみで楽しみでワクワクが止まりません(*´ ꒳ `*)これからも更新頑張ってください! (2022年1月23日 12時) (レス) @page11 id: 3b30b9715e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月20日 8時