2話 再会 ページ14
部屋からあと少し、というところで腕を掴まれた
手の感覚からして、よくわかる。いつまでも愛していると囁いてくれた彼の手だ
この手で何度も愛を伝えてくれた
「………瑞姫？」
『っ…』
「瑞姫、だよな？」
震えている手がさらに力が込められた
私がゆっくりと振り返るとアスラン…いや、アッシュは嬉しそうに顔を歪めると「会いたかった」と甘い声で言う
『(ﾋｸｯ』
「ずっと探してた…探してた…会いたくてたまらなかった」
『ぁ…っ…ひ…ろ、と』
震えて引き攣った声で大翔の名前を呟くと、掴んできている腕を大翔が掴み離してくれた
アッシュは突然なことに目を見開き、きれいな緑の瞳をこちらに向けてくる。大翔は私を自分の背中に隠すように前に立った
「初対面の女性にいきなりそれはないんじゃないですか？」
「………お前、瑞姫のなんだ？」
「幼馴染兼家族、ですかね」
「家族？幼馴染？本当か？瑞姫」
『っ………』
「瑞姫？」
『ひ、ろと…行こう、明石さん、待ってる…』
「…瑞姫、この人と会ったことある？」
『…ない…っ』
「っ!?」
喉が張り付いてうまく言葉が出てこなかったけど、必死に出した言葉にアッシュが傷ついた顔になった
あの様子からして憶えているんだ。あの頃を、全て…忘れていて欲しかったアッシュの辛い過去も、全部覚えてるんだ
「じゃあ、失礼します」
「あ…瑞姫！」
パタンとドアを閉めて足速に大翔と一旦外で待っている明石さんと合流するために出た
私の変わりように明石さんが「ど、どどどうした!? 深山に襲われたか!?」と慌てながら聞いてくるから、大翔は「そんなわけないでしょ」と明石さんを殴っていた
『大翔、あの…』
「いいよ。あとで話してくれれば」
『……ありがとう』
「何年一緒にいると思ってんの。瑞姫のことぐらい、すぐにわかるよ」
『…うん』
良き理解者で、良き友人で、大事な幼馴染で、大切な家族、大翔は私の中で1番大きな存在だ
幼い頃からずっと一緒で何をするにもずっと隣にいた
恋愛とかそんなのじゃない
大翔は私の家族なんだ
兄であり、弟であり、そんな関係は大翔も同じだと言っている
だからこそ、大翔は私のことが何でもわかる
私も大翔のことが何でもわかる
「大丈夫。僕が一緒だよ」
『うん』
ごめんね、アッシュ
私はもう、キミの隣を歩けない
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サッカーバカ(プロフ) - 雅夢羅撫-ayurana-さん» ありがとうございます！アッシュの登場でさらに楽しい物語になれるよう頑張ります！ (2022年1月24日 14時) (
レス) id: b3a011a5a0 (このIDを非表示/違反報告)
雅夢羅撫-ayurana-(プロフ) - 続編おめでとうございます！アッシュが出てくるのが楽しみで楽しみでワクワクが止まりません(*´ ꒳ `*)これからも更新頑張ってください！ (2022年1月23日 12時) (レス) @page11 id: 3b30b9715e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月20日 8時
