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じっと見つめれば、月龍は私の許可を待っているのかずっと静かにしている
私がゆっくりと英二から離れると、「ありがとう」と言い、英二の首筋に針を刺していく
「針麻酔ですよ」
「ん…」
『!英二、英二!』
薄く目を開けて朦朧とする英二に何度も呼び掛ければ「レオン…?」と呂律の回っていない口で呼ばれ『よかった…!』とホッとする
「俺がわかるか?サムライボーイ」
「オーサー…」
「心配するな。アッシュはじきにここへ来る
お前とレオンを助けたい一心でな」
英二に近寄らせないために盾になると、「初めましてだね、坊や」と今度はディノが英二に声をかける
「私はゴルツィネだ。君のご親友、アッシュとレオンの飼い主だよ」
『…!英二、動くな!!』
おぼつかない足で逃げようとした英二を支えれば、「危ない」と月龍も支えた
「まだ筋肉に痺れが残ってるはずだよ」
「ユーシス…君も捕まったのか?」
『英二、コイツは…』
月龍から引き離すようにすると、「はっ!どこまで間が抜けてやがるんだ?」とオーサーが噴き出した
「レオン…お前もアッシュもとんでねぇお荷物抱え込んだもんだ」
『黙れ、オーサー!』
「…このお方はな、お前らを売った李の旦那の弟君だとよ」
「え…」
『英二、オーサーの言うことは信じるな!頼む!』
混乱している英二に頼み込むように言えば、英二は目を見開いているまま
「驚くのはまだ早いぜ。アッシュとレオンを裏切り、お前をここへさらってきたのは、このお方だ」
『英二、聞くな!』
わざとらしい言い方をしたオーサーに『オーサー、お前…!』と睨みつける
信じがたい状況に英二はゆっくりと離れてショーターを見た
「そんなバカな話に騙されると思うのか!
ショーターはお前のような卑怯者じゃない!」
「おい聞いたか?ずいぶんと信用されたもんだなぁ…ショーター?」
「君がアッシュとレオンを裏切るわけなんかない、嘘なんだろ?ショーター」
「………ッ」
否定してくれるのを待っている英二だが、ショーターは何も言わずに黙っていた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月5日 11時