13話 離別の時間 ページ36
私が揶揄いながら言えば、マックスはすぐに「あーもしもし、ジェシカ?」と電話をとった
カップに入ったコーヒーを飲んでいると、「貴様誰だ!?」とマックスが緊迫した声を出した
『…マックス』
電話の相手はどうやらジェシカではなく、相手はいやらしい声で笑いジェシカに代わるようにすると《マックス…》と弱々しい声が聞こえてきた
「ジェシカ!」
《あんたの顔なんか見たくもない。でも、マイケルだけは…あの子だけは助けて》
《パパ!パパー!》
『………(ギリッ』
「マイケル!そこにいるのか!?」
泣き叫ぶマイケルの声が聞こえてきて奥歯を噛み締めた
子どもまで巻き込んでいることに腹が立った私は、怒りで拳を強く握った
《2人の命が惜しかったら、アッシュ・リンクスとレオン・クラウンをここへ連れて来な》
「待て!2人に何かしてみろ、脳天に鉛玉ぶち込んでやる!」
電話が切れると「この家に武器は?」とアッシュがユーシスに聞いた
「父の猟銃ぐらいしか…」
「出してくれ。弾も忘れるなよ」
「アッシュ…」
「どうやら簡単にはニューヨークへ帰らせてはくれないみたいだな」
『…………』
ユーシスが出してきた猟銃に弾を込めるアッシュに私、英二、ショーター、伊部さんはじっと見つめる
「お前たちはここにいろ」
「しかし…」
「これは俺の専門だ。従ってもらうぜ」
「アッシュ…」
伊部さんに有無を言わせずに言うと、英二の心配そうな顔に気づいたアッシュは「そんな顔すんなよ、俺に任せとけって」と安心させるように微笑んだ
「お前はここに残ってくれ」
「え!? なんでだよ?」
「どうも様子がおかしい…
俺たちをおびき出すつもりなら、人質を別の場所に移して罠を仕掛けてくるはずだ
ここを手薄にさせて俺たちの弱いとこを突くつもりなら2人が危ない
それに、目的が俺とレオンならなおさらだ…頼んだぜ」
心配そうにする英二と伊部さんに『大丈夫、ジェシカたちはアッシュが助けてくれるよ』と安心させるように言っていると、「アッシュ!」と大きな声でショーターが呼びかけていた
「ん?」
「………気をつけてな」
「あぁ…。…………レオン」
『え?』
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月5日 11時