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「ユーシスだけどな、別に不審なところはなかったぜ」
『そっか…。ならいいんだよ、やっぱり気の回しすぎだったかな…アッシュには?伝えた?』
「いや、まだだ…。…なあ、レオン」
『ん?』
真剣な顔つきのショーターに『どうかした?』と聞けば、「たとえば、たとえばだが」とよほど深刻なのか視線を私に向けない
「俺が、お前やアッシュを裏切るようなことをしたら…どうする?」
『ショーターを信じる』
「え?」
『ショーターが私たちを裏切るってことは、何か余程のわけがあるってことでしょ?
なら、ショーターを信じる。ショーターが考えてそう決めたんなら、それは正しいことだ
だから信じるよ、ショーターを。何があっても、私もアッシュも』
「…………」
『…まあ、そうなったらの話だけど』
ガチャとテラスのドアを開けて入ってきたアッシュに気づき『何があったのか知らないけど、元気出して』とショーターの肩に手を置いてテラスを出ていく
『…はあ』
「大丈夫ですか?」
『!』
テラスのドアを閉めたあと、ため息を吐くと音もなくユーシスが歩いてきた
『…別に、なんでもない』
「彼と、喧嘩でもしたんですか?」
『…あんたには関係ないでしょ』
それだけ言い残して英二のいるリビングに戻り、他愛もない話を始めると時間はあっという間に過ぎてしまった
「ねえ、レオン。アッシュとはいつ仲直りするの?」
『…………英二、的確に抉ってくるな』
「え?まだしてないの?」
『……………喧嘩の内容が内容だし、そう簡単にはできないの』
「でもアッシュならきっと許してくれると思うけど…」
『お子ちゃまにはわからないよ』
「なんだと!?」
ハハハハと笑っていると、「少し外の空気を吸ってくるよ」と英二が席を立った
それを見送り、紅茶のスプーンを手に取ってクルクルと回していると、伊部さんとマックス、アッシュが入れ違いで入ってきた
「出版社と連絡がついたのか?」
「ああ。向こうから日本領事館と移民局に掛け合ってくれるそうだ
…ったく、ビザのことなんて、すっかり忘れてたよ」
『……!』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月5日 11時