検索窓
今日:3 hit、昨日:18 hit、合計:28,591 hit

12-5 ページ31

レオンside









『…………』

「レオン?」

『え?』

「どうかしたの?」

『あ…ううん、なんでも』

「アッシュと何かあった?」









バサバサッ









『………』

「あったんだね…」

『………英二には嘘がつけないな…』









取りこぼしたトランプを寄せ集めると、英二は「なんで喧嘩したの?」と聞いてきた
トランプをそのままシャッフルしながら、『ユージンのことでね、ちょっとぶつかっちゃって』と手を止める









『ユージンのことは好きだった
だけど、お兄ちゃんみたいに思ってたから、好きな人と履き違えたんだ…
それに気づいたのは、アッシュと一緒にいるようになったからなんだけどね…』

「じゃあ今は」

『…アッシュ以外、愛せないよ』

「………」

『でも、アッシュが迷惑だと言うなら私はもうアッシュのそばにはいないよ』

「どうして?」

『…アッシュがそう望むなら、手を引くのが普通だし…アッシュには、幸せになってほしいから
私もユージンのことを忘れなかったこともあるから』

「忘れちゃダメだよ」

『…え?』









天井を見上げながら言えば、英二は「忘れちゃダメだよ」と二度同じことを言った









「…忘れちゃダメだよ。それが大切な思い出で、レオンにとって大切な人なら…なおさらね」

『英二…』

「人は死んだら、人の思い出の中でしか生きられない…人に忘れられた時が、本当にその人の死なんだよ」

『……………でも、忘れないと』

「アッシュならきっとわかってくれるよ。レオンの大切な人をアッシュもきっと…
だから、忘れちゃダメだよ。レオンが忘れたら本当にユージンは死んじゃうよ」









ユージンが、本当に死ぬ…
忘れちゃダメ、その言葉が頭の中で深く刻み込まれるような気がした









『そうだね…忘れちゃ、ダメだね…。ありがとう、英二、私…ユージンを殺すところだった』

「あ、いや…」

『…アッシュにはちゃんと謝るよ』

「うん」









トランプをケースにしまうと、「レオン、いいか?」とショーターが声をかけてきた
いつものような調子ではなく、いつになく真剣な声色









『うん…。またね、英二』

「うん」









テラスに向かうと、ショーターは椅子に腰掛け私は手すりにもたれた

12-6→←12-4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月5日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。