元殺し屋はヒーローになる19 (ページ25)

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自分の力で空を自由に飛び回れる爆豪や、譲渡されたワン・フォー・オールで自由に駆け回る緑谷、麗日ちゃんやみんなが自分の足で力で飛び立っている

私は…一体

どうやってこの場に、この地に足をつけてるんだ？

ﾌﾞﾂﾝｯ

「え…」

『……………は？』

後ろから抱き込まれたと思ったら、首筋に痛みが走った
目だけを動かせば、茶髪の髪の毛で、青く光る瞳が見えた

『……………………す、ばる？』

ジュルッという吸う音と、ピチャンッという血の滴る音が聞こえてくる
ジュルッ、ジュルッという音が、ゴクン、ゴクンという音が耳にこびりついてくる

『あ"…………ッ』

「青子!!!」

「若はお嬢のために、心を鬼にしていたんだ!!!」

『私のためだと言うのなら、なぜ私を放っておかなかった!!!!』

痛む肩など放っておけばいい
そんなものいつだって治る

ｼﾞｭﾙｯ

『ゔ…ぁ…』

ガクン、と下に落ちそうになるのを誰かが助けてくれた
グパッと肩口から開けられた牙を押し除けたのは、アッシュだった

「青子、青子！」

『アッシュ…』

「若は………」

『！』

口元から赤い血を流し、震えているのは…路地裏から飛び出していた女の子…昴だ
昴の“個性”は「性転換」と「吸血」だ

「お嬢のために、なんとかしようとしてた…」

『…………昴、私は…幸せだったよ…
みんなが、私を助けてくれたことも嬉しかった…けど………やっぱり無理なんだ、敵として考えてしまったあの人と、ヒーローとして考えてしまった私とじゃ、もう、戻れないんだよ』

「それでも…ッ」

『…はっきり言わせてもらう…私が大切なら、放っておいてよ
私は、やると決めたんだよ…笑うために、心してもらうために…私は、裏切ると決めたんだ』

私が心の底から、私が心の底からヒーローを目指せるように笑えるようになるために、裏切るとあの時決めた

傷つけたくないものを、守るために私は兄を裏切った

『私のことをいくらでも罵ればいい
だけど…私はお前たちの養子になったわけじゃない…私は、エンデヴァーの子どもだ…!!』

不本意だった事実を、私は…受け入れるために…何度も何度もあの人を見ていた