元殺し屋はヒーローになる19 (ページ23)

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「にゅ…それはそうと、エンデヴァーさんから連絡がありました」

『？』

「日本に戻って際に、またインターンに来て欲しいと…なんでも、国外だそうです」

『もはやそれはインターンなのか？』

日本国内でのインターンが、国外でのインターンになるとか聞いてないんだけど…

私がげっそりとしていると、「まあ、まだ少し先のようですし」と殺せんせーがフォローしてくる

「では、先生は帰ります」

『うん』

「無理だけはしないでくださいね」

表通りに出た途端、殺せんせーはマッハ20で飛び去ってしまう
砂埃が巻き起こり、私は飛んでいった殺せんせーを見送った

アッシュのところに戻り、なんとか誤魔化した後カフェを出た

「どう見てもタコだろ」

『そういう“個性”なんだって』

いまだに誤魔化し続けていると、パンッという何かを叩く音が聞こえてきた

ﾄﾞﾝｯ

「うわっ！」

『っと』

路地裏から飛び出してきた何かに体当たりされたアッシュは、そのまま体勢を崩した
肩を支えて下を見ると、涙を浮かべて泣いている女の子がいた

何かと重なって、アッシュからその子に近づく

『こんにちは、どうしたの？』

「ッ！」

『安心して、お姉さんはヒーローだよ』

「ヒーロー…」

女の子はひどく安心したあと、「救けて！」と涙を流し始めた
大粒の涙が流れると、「ダメじゃないか」と後ろから聞こえてきた

その言い方はまるで、数ヶ月前にも自分に向けられた言い方でもあった

「人様に迷惑かけちゃ」

『……………………』

男は私を見ると、目を見開き「なるほどな」と呟くとにこりと笑いかけた

「その子を話してくれるかな、オーバーホール」

『ハッ…離すわけないでしょ』

「…わかるだろう？その子はこの世の人間を殺すことができるんだ
その才能がある、“個性”なんてなくとも人を殺すことが可能なんだ」

『だったら？人を殺す才能を伸ばすことがこの子の存在意義だとでも言うの？』

「そうだ」

『馬鹿じゃないの？』

女の子を抱きかかえながら私はアッシュを自分の背に隠した

『ヒーローってのはね、困っている子を放っておけないんだよ』

「交渉決裂だな」