元殺し屋はヒーローになる19 (ページ15)

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『…………柳沢…ッ』

「お久しぶりだな、夜神月…いや、治崎と言ったほうがいいか」

『…オーバーホールに治してもらった恩も忘れて、まさか逃亡するとはね…しかも、薬まで盗んで』

「魅力的なお誘いだったのを蹴って悪かったな…
だがあの薬よりも、もっと魅力的な薬が手に入ったのさ」

『魅力的な薬？』

眉を寄せて聞き返せば、「いずれわかるさ」とニヤニヤとした顔で言われる
眉を寄せたままいると、「さあ、俺の実験の犠牲となってもらおうか」と手には注射器が握られていた

『それがその…魅力的な薬っていうの？』

「もちろんさ…。お前の“個性”を失うのは惜しい…
その“個性”を保ちつつ、この薬を投与した場合のモルモットが見たくてな」

『外道が』

クツクツと笑う柳沢は、「おとなしくしていた方が身のためだ」と言う
生憎、私は大人しくするという言葉には縁遠いのでここから逃げてやろう

『ひとつだけ言わせてもらうけど…』

「ん？」

『オーバーホールは、なんでも破壊できるってこと…忘れてないよね？』

「！」

壁に触れてそのまま人が一人分入れるぐらいの穴を開けてすぐに出る
修復してそのまま外に飛び出していけば、看護師や医師とすれ違う

「モルモットが逃げたぞ!! 捕まえろ!!!」

前方から警備員が数人現れて銃を向けてくるのに怯むことなく突っ込んでいき、壁に触れながらブワッと警備員たちに向ける

体育祭で焦凍が見せた氷のやり方だ

動きを封じ、そのまま走り抜けてエレベーターに乗り込み、1階へのボタンを押して開閉ボタンを押し、そのままエレベーターで下へ向かう

『どうせ緊急停止だろうから…』

天井部分の蓋を殴り、蓋を外して天井に上ってそのまま息を潜める
どうせあいつら、中だけ見て動かすだろうし

「いないぞ!!」

「くそっ！一体どこへ…！」

案の定、エレベーターは緊急停止して中を確認しにきた
警備員たちが行ったのを確認し、エレベーターは使えないから別の方法でここから出よう

『って言っても…どうやって逃げる』

警備員も多くなってきてるし、さっさとここから逃げないと逃げ道塞がれてアウトだ