元殺し屋はヒーローになる19 (ページ12)

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《青子は偉いぞ》

『もういい、焦凍参ったから』

電話して数十分間、ずっと褒めちぎってくる焦凍にもういいと言っても知らぬ存ぜぬのように褒めることをやめない

拷問なのでは？

「やあ」

『！』

「おや、電話中だったかな？」

『…いや、もう終わるところ』

《お？》

『じゃ、またね。元気出た』

それだけ言い終えて一方的に電話を切ると、『で、何か？』と目の前に立つブランカに聞くと、「ムッシュウが君を呼んでいるんだ」と言ってきた

『…なんで』

「なんでも、知能テストを受けてほしいそうだよ」

『知能テストォ？』

明らかに嫌だと眉を寄せていうと、「まあまあ」とブランカはいつものニコニコとした顔で言う
ブランカの運転する車でゴルツィネの邸宅へ向かうと、「お呼び出しして申し訳ない」と言われた

申し訳ないと思うならやめてもらっていいか？

『いいえ、構いませんけど…』

「今日はぜひ、知能テストを受けてもらいたいと思いまして…」

『知能テスト、ですか…』

「えぇ…。あなたのような素晴らしい方の能力を測るテストです…アッシュがぜひ、あなたにと」

(原因はアイツか、クソガキ)

ブチッと脳内でキレた音がしたものの、大きく息を吸って『わかりました』と答えておいた
アッシュあの野郎…

別室に連れて行かれて、簡単な説明の後にプリントを受け取る
制限時間は約1時間程度、ブランカが見学したいと言って同席しているのは良しとしよう

『…………』

何この問題

どれもこれもお世辞にも“いい”とは言えない
ただの簡単な計算を面白おかしく難しく書いてるだけで、簡単に柔軟な動きに対応できるかどうかのテストになってるの？

しかもさ〜

『あの〜質問しても？』

「なんですか？」

『この問題』

(高等数学!?)

ギョッとし知らない顔をして『「フィボナッチの数列」ですか？』とペンをくるくる回しながら聞き、次から次へと早口で言っていく

『「3」の次は「5」なのに、この問題だと「６」になってる
それで前の項に頼らず任意の数値の出るようなf(x)の公式があると仮定して計算してみたら「f(x)=a451796」「expt.0.480512x」…』