元殺し屋はヒーローになる19 (ページ8)

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132話知能テストページ8

『………奴の隙を突ける人間がいるとでも思うの』

殺せんせーを、殺せ？
そんなの無理だ…殺せんせーに徹底的にマークでもされたら、暗殺なんて不可能だ

『あの超生物を殺すために彼らは1年かかったんだぞ…
ただの子供が相手できるレベルじゃない、常人じゃないんだ』

《そこをキミが殺ってほしいのだよ…できるだろう？
大量虐殺の主犯クン》

．

．

．

ｻﾞｰｰｰｰｰｰｰｰｯｯｯ

「ひっでぇ雨だな…前が全然見えねえや」

『あぁ…うん』

「どうした？」

『…いや、なんでもない。それよりご飯にしよう、お腹減って仕方ないや』

キッチンに向かい、冷蔵庫を開ければ一人分が作れるぐらいの材料があった
それを適当に作ってアッシュに出すと「いいの？」と聞いてきた

『私は後で済ませるよ』

窓辺に座り、雨が降り頻る街並みを見つめる
全然見えないけれど、どうでもよかった

私は殺せんせーを殺さなくちゃならない
殺したくない、殺しちゃいけない、殺してはならない、殺せない

(どうすればいい…1人での暗殺なんて不可能に近いのに…どうやって、どうやって殺せば…………それ以前に、殺せんせーを殺すなんて…)

私には無理だ

大切な恩師を殺すことなんてできない
ただでさえ殺さない派だったのに、殺すなんて…

あの時は、みんなで決めた、殺すことに異議はなかった
だって、最初からそう思って1年間ずっと命を狙ってきたのだから

「青子」

『！』

「メシ、食い終わったけど」

『あ、あぁ…流しにおいてくれたらいいよ』

「………青子」

『んー？』

振り返ると、ギュッと何かに包み込まれたような感じがした
いや、包み込まれた

『……アッシュ？』

「1人で全部しようとしなくていい」

『！』

ギュッと細い腕で抱きしめられた
決して冷たくはないその体温に包まれて、なぜか鼻の奥がツンとした

『………』

「頑張りすぎ」

『………』

「そんな青子が好きだけどさ」

グリグリとアッシュの胸に額を当てれば、「甘えてる？」と聞かれた
答えることなくずっといると、「…頑張りすぎなんだよ」と言われた

だって頑張らないといけないから