元殺し屋はヒーローになる19 (ページ45)

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138話キスページ45

JFK空港の出発ロビーには、兄さんたちやアッシュ、ブランカまで見送りに来てくれていた
しかも、アレックスまで来てるもんだから驚いた

「元気でな、ロゼリア」

『アレックスたちもね。ストリートキッズ、あんまりやらかしてると、そのうち私がしょっぴくから』

「恐ェこと言うなよ…」

アレックスが苦笑いをしているのに対し、ブランカの横に立って頬をふくらまし気味のアッシュが私を見ている
スーツケースから手を離し、アッシュの目に合わせるように少し腰を折った

『どうしたの、アッシュ。何不貞腐れてんの？』

「……別に」

ぷいっと顔を背けたアッシュに『あ、可愛くない』と呟く
少しため息を吐きながらいると、私が乗る飛行機のアナウンスが聞こえてくる

『行かないと』

「！」

「…元気でね、しっかりするんだよ」

『ブランカこそ。約束守ってよね』

「あぁ、もちろんだ」

「え、約束？約束って何？」

『アッシュには関係ありませーん』

べーっと舌を出すと、アッシュはむっと唇を尖らせた
そんなアッシュとも、しばらくはお別れかぁ…

『アッシュ』

「！」

『抱きしめてもいい？』

「……ん」

私が聞いてみると、アッシュは両腕を大きく広げて「こい」の体勢になった
ゆっくりと歩み寄り、アッシュを力一杯に抱きしめた

『アッシュ…どうか生きてほしい』

「…………！」

『必ずまた会いに行く…それまで、生きて生きて…生き抜いてほしい
強くなって…待ってて…絶対に助けるから…絶対、絶対』

「…約束だからな」

『うん、約束』

力強く抱きしめてきたアッシュに私がきつく抱きしめ返すと、「青子、そろそろ行かないと」と天城兄さんが促してきた

『うん。じゃあね、アッシュ…またね』

ゆっくりとアッシュから離れると、名残惜しそうに手を伸ばしてくるアッシュに、私は優しく笑ってスーツケースを持って歩き出す

ｸﾞｲｯ

『！』

掴まれた手首がそのまま後ろに引っ張られて体勢が崩れる

振り返ると、目を細めたアッシュの顔がすぐ近くまできて反応できずにされるがままだった

「待ってる…愛しい人」

小さく聞こえた後、影が重なった