元殺し屋はヒーローになる19 (ページ41)

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『ほら、帰ろう。みんなが待ってる』

差し出された手を俺はゆっくりと重ねた
優しい言い方、温かさ、そして優しいひだまりのような笑顔

俺は青子が泣く姿は見たくない

このひだまりの人が、いつ、いなくなるのかわからない

だってこの人は、誰かを助けるヒーローだから

ー数日後ー

ﾊﾟﾝｯ

乾いた音が響き、俺の右頬に鋭い痛みが走る

「ずいぶんと生意気な口をきくようになったもんだなあ、え？」

「…何度だって言ってやらあ。もう絶対あんたの言いなりにはならねえ！」

俺を打ったのはマービンだった
そのマービンに睨みながら俺ははむかうと、「お前、ムッシュウのお手付きになったからって、いい気になんじゃねーぞ！」とマービンが怒鳴り散らしてきたのに、俺は唾を吐いた

「このガキ!!!」

ｶﾞｼｯ

腐った白豚マービンの振りかざした手首を掴んだのは、白くて細い指だった

『なんでその子を殴るの？』

「てめぇ!!」

『私はディノ・ゴルツィネから彼の教育を任されてるんだよ。この短期間で知らないはずがないでしょ？
あんたのこともよく知ってるし、この短期間でよくわかったよ
あんたがこの子に何をしてるのかも、これまでどれほどの尊厳を踏み躙ってきたのかもね』

『もちろん、私にもね』とマービンに吐き捨てた途端、マービンが懐から銃を出そうとしたのを素早く察知した青子は、マービンの手首を捻り上げた後、バキッと骨を折る音をさせた

「うあ！うわああぁあ！」

マービンの鼻先に奪い取った銃を向けた青子は、ブルーサファイアの瞳を冷たく宿していた

『ディノ・ゴルツィネには内密にしておいてあげる
だけどこれからこの子に指一本でも触れてみなよ…腕だけじゃなく命を奪う…
わかったら二度とこの子に手を出すな…あんたの罪状を閻魔のように並び立てて必ず地獄に落としてやるからそう思っておきな』

弾倉を抜き取った青子は、自分のウエストポーチに直すと使い物にならない銃をマービンの足元に投げてよこした
俺はじっと青子を見ていると、俺の視線に気づいたのか『おいで、アッシュ』と優しいあの手を差し出してきてくれた