元殺し屋はヒーローになる19 (ページ19)

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133話邂逅ページ19

『…………はい、そうです…はい、今回は…はい、お願いします。はい、失礼します』

タルタロスに監修されているお兄ちゃんとの面会を断る電話を入れ、なんとか終えてソファに沈み込む

『会いたくないわけないんだけどなぁ…』

「誰にだい？」

『…お兄ちゃん』

「お兄ちゃん？」

『…調べたらわかるでしょ』

「…治崎廻、だったね」

『…知ってるんだ』

「キミの師匠から聞いてね」

『あのジジイ』

ブランカは対面でソファに座った

「…キミの名前は、治崎破無…全てを破壊して無にする」

『ご名答』

もうバレたって仕方ないか…緑谷たちだって知ってるし

「…キミは、どうしてヒーローに？」

『………お兄ちゃんによって苦しめられていたエリちゃんって子を助けるためにヒーローになった』

「……」

『巻き戻す“個性”から作り出された薬は人々の“個性”を消すものだった…
その薬の研究、行動は随時監視…そりゃ性格もひねくれますよ』

当たり前だ
自由というものに囚われた私は、抜け出したとしてもきっとどこかで縛り付けられる

それがたとえ、兄であっても、ヒーローであっても、どこかで何かが絡まって解けなくなり、どんどん足枷となっていく

『…ブランカ、私も人殺しなんだよ』

「！」

『無関係の人間を殺してきた
その人の大切な将来を奪った…許されないことをしてきた人間が、自由に、幸せになれると思う？』

「………自分の行いを悔いているのなら、大丈夫さ」

『…ブランカとは2度と会えないかもね』

「なぜ？」

『3月に死ぬかもしれないから』

「…！」

『私が進めている計画は、日本のヒーロー社会を大きく左右する事件だ…いや、3月云々に居場所がバレたら殺されるだろうね』

「……それは、アッシュは知っているのかい？」

『知らない、知らせてないし教えてない…教える必要がないからね…』

「キミはこうと決めたら曲げないんだろう…
ただこれだけは約束してくれないかい？」

『…？』

「アッシュを置いて死ぬな」

『！』

「アッシュはキミを愛してる…そんなキミが死んだとなれば、きっと彼は壊れてしまうだろう」

『…………大層なこと言ってくれるね
ヒーローに死ぬなって言って、明日には死ぬかもしれないのに？』

「キミなら生き残るさ。生きることに貪欲だろう？」