大王女様と山猫小僧2 (ページ8)

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12話手当ての時間ページ8

グラウンドに出てサーブをしまくれば、囚人たちは「取れるか！」とキレのあるツッコミをしてくれた
そう、それを待っていた気がする

「あ、バカ!!」

「瑞姫！」

『ぐほっ!?』

そこまで威力のないボールが私の顔面にぶつかり、ボールはテンッテンッと跳ねながら転がって行く

『～～～～ッ!!?』

「だ、大丈夫かよ…」

ジンジンと痛む顔面を両手で押さえながら『お、お"ぉ…』と答えると「大丈夫じゃないな」と言われた

「おい、立てるか？医務室行くぞ」

『ゔゔん』

「どっちだよ」

鼻を押さえながら立ち上がると、『みんなごめーん』と涙目になりながら謝ってアッシュと一緒に医務室へ向かった

ー医務室ー

「おいおい…医者はいないのかよ」

ドアを開けて中に入ると、ちょうど医務室の医者はおらずどうやらご飯でも食べてるのか休憩しているかのその二択だった

まあ、ここで怪我なんかしても意味がないしみんな大人しく遊んでるだけだろうけど、バカなこと考える人もいるわけだからね

「そこ座ってろよ」

『うーい』

丸椅子に座って待っていると、救急箱を持ってきたアッシュは「手、どけてみろ」と言いパカッと救急箱の蓋を開けて綿と消毒液を取り出した

「真っ赤になってるだけで…切れてはねぇな…頭は？痛いか？」

『平気…』

「吐き気とか首の筋に痛みとか」

『全くない』

「んじゃ、冷やして安静にしておくことだな。そこのベッドで横になってろ、氷作ってやるから」

テキパキとし始めたアッシュに、『手際いいね～』とベッドの方に行くと「まぁな」と言いながらこちらを見ずに作業を進めて行く

『いい父親になれるよ』

「……別に、父親なんて」

『いいじゃん、父親。うち父親いないし』

ベッドに乗り、パタパタと足を動かすとアッシュは「え？」と振り返ってきた

『私、祖父母に育ててもらったんだよね～
母親は私を産んで死んじゃって父親は交通事故でぽっくり…兄ちゃんは兄ちゃんで頑張ってくれたんだけどさ～…全然連絡とってなかったから、結構うざい！』