大王女様と山猫小僧2 (ページ46)

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カルマside

瑞姫用に与えられた部屋に行かせると、俺はリビングに取り残された男どもに振り返る

「まあ、瑞姫が怒鳴ったことは謝るよ。ごめんね
けど、俺もさすがに今さっきのはキレた」

殺せんせーのことを「危険生物」だとか言われたら、そりゃ俺だっていい気分にはならない
あのふざけた先生のおかげで、俺は一応椚ヶ丘に通って東大にまで行けたんだ

一応は感謝してるよ
俺の暗殺にだって真摯に答えてくれたし、真っ向からぶつかってくれたあんな先生、滅多にいないし出会えることも少ないからね

「俺らの大事な恩師なんだよ…危険生物とか、ストックホルムとか言われると、流石にさ…」

「だが、お前たちの考えはそういう風に」

「そうかもしれないね。じゃあマックス、あんたに家族はいる？」

「…一応、は」

「その家族が、見ず知らずの赤の他人に「死ね」とか理不尽なこと言われたらどう思う？」

「そりゃキレるに決まってる！」

「それと同じだよ。俺たちの気持ちはそれ」

「！」

赤の他人が、ましてや俺たちのことすら知らずに聞こうともしなかった大人たちのそんな身勝手な意見によって、殺せんせーは悪者として死ぬことになった

「そりゃ確かに俺たちは他人から見れば可哀想な人間かもね
超生物に脅されてたとか世間じゃそう言われてるし」

「事実じゃないの？」

「表ではね。俺たちの前じゃそうじゃない
いつ、俺たちが先生に脅されてるなんて言ったの？」

「「！」」

「俺たちは脅されてなんかない。国から頼まれた暗殺をしてただけ
何でもかんでも国が言えば人は信じるもんだよ。そりゃそうだよ
30人弱の生徒と国の言う言葉…どっちを信じる？」

当たり前のことを、国がやったまでのことだ
俺たちは何もできない、何もできなかったんだ

「まあ、結論から言うと…俺らのこと何にも知らないくせに、勝手に喋るなよ？ってことが言いたいんだよね
俺らのこと知りたいなら日本政府にでもなんでも聞けばいいよ。突っぱねられるだけだろうけどね」

俺はこれ以上ないほどにこやかな笑顔を向けるのと同時に、「俺らのこと勘違いすんな」「下手したら殺すから」という殺意を向けておいた

俺の殺意に当てられたその場のいた全員が、少し体を震わせていたのは見ていないフリだ