大王女様と山猫小僧2 (ページ40)

今日:15 hit、昨日:1 hit、合計:17,131 hit

17-3 ページ40

瑞姫を抱きかかえながらそのまま歩いていくと、小さな家が見えてから

「あそこが俺と兄貴の生まれた家さ。俺とグリフィンは母親が違うんだ
俺の母親は、グリフィンの母親を追い出したくせに、俺を産むと今度は別の男と逃げちまったあばずれさ
そのうち親父がジェニファとあそこに住むようになって、ここは俺たち二人だけになったんだ」

英二が気を使ってドアの鍵を開けてくれると、俺はそのまま中に入っていこうと足を踏み入れたとき、「アッシュ！」とジェニファの声が聞こえてきた

「ここはもう電気が通ってないの。それから食べ物を」

「サンキュー、助かるよ」

荷物を受け取ったカルマが、「うわ、うまそう」とカゴの中に入っているものを見て言う

「…ねえ、あの人のことだけどね
あんたが帰ってきてくれて、本当は嬉しいのよ」

「あんたは優しいね。あんたみたいな人が、なんであいつといるのか不思議だよ」

「お願いよ、そんな風に言わないで」

「わかったよ…ごめん」

俺が謝ると、ジェニファは店の方に歩いていく

「明日、店に来てね。朝食を用意するわ」

ジェニファを見送ると、おっさんが沈んだ顔をしていた

「なんだよ、しけたツラだな
ここへ来させたのはあんただろ。今更嫌なものを見たなんてツラはよしてほしいな」

「…すまん」

「アッシュ〜、瑞姫どこ寝かせる？」

「とりあえず、ソファだ」

バサバサとシーツを外したカルマは、クッションや毛布を持ってきてくれた
ゆっくりと瑞姫をソファに寝かせ毛布をかける

「いい家じゃないか」

「おーい、瑞姫〜。なんかほしいものある？」

『あ"ーゔー…』

「だめだ、熱でやられてる」

ショーターが熱でうなされている瑞姫を覗き込むのに対し、「英二、後ろの棚の引き出しからローソク出してくれ」と近くの棚を指さして言うと「うん」と英二は頷いて引き出しに指をかけた

「うえっ!? きゃあああああっ!!!」

『っ!!?(ｶﾞﾊﾞｯ』

女子のような悲鳴をあげて英二が飛び上がり、ショーターにしがみつくのと、そんな叫び声に驚いて体を持ち上げあたりをキョロキョロと見ている瑞姫がいた

「な、なんだよネズミくらいで！びっくりすんじゃねーか！」

「ごめん…」