大王女様と山猫小僧2 (ページ37)

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『…痛い』

ジクジク、ズキンッズキンッ、ズッキンズッキン、今まで受けたことのないような痛みに静かに涙が流れていく

アメリカ来て2回も撃たれてこんな目に遭うなんてことある？
平和な日本カモンプリーズ

「大丈夫か？」

『これを大丈夫だと思える人間は頭が狂ってると思う』

「確かにな」

『アッシュは？』

「お前が庇ってくれたおかげでなんともないぜ
…庇ってもらうのは、これで2回目だな」

『1回目なんてあった？』

「スキップを庇ってくれただろ？」

『あんなの庇ったに入んないよ』

「…すまない」

『ん？』

「女の体に、傷をつけた」

申し訳なさそうに言うアッシュに、『あー、うん、まあ、いいよ』と目を泳がしながら前を向いた

ビル群の中にオレンジ色の太陽が溶け込んでいくこの美しい景色を前に、責め立てるようなことをする人間なんていないだろう

「もしなんかあれば、俺がもらってやるよ」

『あはははは〜、そうならないことを願うよ』

「…俺もだ」

『…？』

「…これ以上、お前に何かあると考えたら…怖くてたまらないんだ」

『いや、私そこまで弱くないんだけど…』

平気で30mくらいある崖から落ちても問題ないし…というか、別にいけるけど…落ちてもなんら支障ないだろうし、多分…多分

「その包帯、誰が巻いたんだ？」

『カルマ。アイツ、なんだかんだで手当てうまいんだよー』

「へぇ…じゃあ、服脱いだのか？」

『うん』

「………………」

『そりゃ、見られたくないけど…致し方ない事態だったしまあいいかなって』

「…オネエチャン、危機管理がないの？」

『へんっ！危機管理力だって備わってます〜』

「どこがだよ」

世界最強の殺し屋に出くわするわ、いろんな殺し屋のおかげで精神的にも肉体的にも強くなるわ…いや、もう散々な目にあった

『今思えば、私って結構すごい人間？』

「頭のネジが飛んでる凄い人間だろうな」

『え、そっち？』

「そっち以外何があるんだよ…」

『他にもあるじゃん！頭いいとか！体力あるとか！強いとか！』

「褒められて嬉しいのか？」

『少なくとも嬉しい！』

「……………お前残念美人とか言われないか？」

『残念ながら、美人と呼ばれてる！』

「残念は？」

『言われたこともなくもない』

「あるのかよ」

『うるさいよ！』