大王女様と山猫小僧2 (ページ29)

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アッシュside

パタンッとドアを閉めて後から聞こえたバフッというドアにクッションか何かが当たる音が聞こえた
ドアの向こうで『クソガキーーーッ！』と叫んでいる瑞姫の声を聞きながら、俺はその場に崩れ落ちた

腕で顔を隠し、手で頭を掻き「あ"ーくそっ」と吐き捨てる
白い肌も、くっきり見えた体のラインも、寝息や寝顔、そして下着までもが鮮明に頭の中に再生されていく

(くそっ…)

会ってまだそこまで時間が経っていないものの、長くも短い期間で仲良くなった自覚はある
瑞姫本人がいいやつだし、バカなやつでノリもいい
そりゃあ、ショーターも気にいるわけだ

(恋人、いるのかな)

あんな感じだといなさそうだけど、いそうだし…
真っ赤になった頬の熱を覚ますために俺は立ち上がり、ショーターたちがいるところへ向かった

(まさか、恋するとはなぁ…)

人殺しが恋なんかする資格なんか、ないのにな

「あれ、瑞姫は？」

「今さっき起きた」

「ふーん」

カルマが皿を運んでいるのに対し、バンッとドアを乱暴に開けたのは瑞姫だった
すでに短パンとTシャツに着替えた瑞姫は、頬を膨らませて鋭い目を光らせている

「え、なに？」

『覗かれたッ』

「誰に？」

『アイツ!!!』

ビッと指を指してきた瑞姫の言葉はわからないが、俺がさっき覗いたことだということはわかった
覗いたと言うか、服ちゃんと着とけば防げたことだろ

「ふーん、よかったじゃん。彼氏いない歴＝年齢じゃん」

『うっさい!!!』

「英二、なんて言ったんだ？」

「あーははは…。彼氏いない歴＝年齢だって」

「！」

カルマをボカボカ殴っている瑞姫の恋人経歴を間接的に知れた俺は心の中で喜んだ
あわよくば恋人になれるな…

『もーいいさっ！白樺さんは彼氏いなくても生きていけるもんねっ！』

「どうせブラジルで男引っ掛けて金取られるのがオチだもんね」

『白樺さんはちゃんと自衛できるわッ!!』

あっははは〜。と悪ノリしているカルマにウギーー！と怒っている瑞姫に、ショーターは「おい、お前ら飯抜きにするぞ！」と一喝し、こうして朝飯が始まる