大王女様と山猫小僧2 (ページ26)

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ー隠れ家ー

『うーん。ベッドがひとつ、椅子がひとつ、豪華な装飾とどう見てもめちゃくちゃ高そうな部屋…しめて、一泊5万ドルはくだらない』

「くだらないこと言ってないで、さっさと中に入ってよ」

『ぎゃんっ！』

部屋の中に蹴っ飛ばされた私は、フカフカのベッドの上に顔面ダイブを決め込んだ
ふかふかだったからよかったものの、これが壁だったらどうしてくれるつもりだよ、カルマさん

『ハッ！』

「今度は何」

『めちゃくちゃふかふかで居心地がいい!!!』

「うっさいよ」

『これ、寝れる〜!! おやすみー！』

「はいはい、勝手にして」

パタパタと足を動かした後、枕に顔を埋めて目を閉じてそのまま寝る
すやすやと寝始める

おやすみ今日、また明日〜

アッシュside

「本気で寝やがった…」

「襲われても知らねえぞ？」

ベッドの枕に顔を埋めてそのまま眠った瑞姫は、みじろぎひとつせず小さな寝息を立てて眠っている

眠っている瑞姫のベッドに腰掛けていると、カルマが毛布を持ってきて瑞姫に優しくかけた

「英二、カルマ、伊部んとこへ帰れよ。心配してるぜ」

「帰った方がいいんだろうけど、ちょっと雲行き怪しくってさ…ことが終わるまで、アメリカに滞在するかもね」

「どういうことだよ…」

「それはまあ、おいおいと…どうせ心配かけちゃってるんだし、この際そのまま行った方がいいよ」

「おい…」

「…カルマくんの言う通り、もっと心配かけることになっちゃうや…」

英二がうつむくと、カルマは「オックン、なんかあった？」と英二の隣に座ったカルマが聞くと、「実はね」と笑いながら言う

「僕は確かに何もできないし、キミたちの足手まといかもしれないけど、今放り出して帰ったらずっとダメなままだって気がして」

「……」

「僕は日本にいた頃、棒高跳びの選手だったんだ」

「へえー、人は見かけによらねーな」

「俺は知ってるぜ。そのおかげで命拾いしたからな
それに、カルマも飛んだしな」

「うん…でももう、僕は跳べないんだ」

「なんで？跳んだじゃねえか、俺とスキップの目の前で」

「そういうことじゃなくて。つまり、選手としてってことで」

英二から聞いたのは、怪我をして棒高跳びから少し離れた後、復帰したものの飛ぶことが怖くなったそうだ