大王女様と山猫小僧2 (ページ22)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:17,122 hit

14-6 ページ22

荒っぽい運転からなんとか平常運転に切り替わり、ハイウェイを走る
後部座席にはカルマと私、助手席にはアッシュ、運転席にはオックン

「あーあ、伊部さん、怒ってるだろうなぁ」

「怒る理由がわかんないよね」

『自由にすればいいのさ』

後部座席の背もたれにもたれて、景色を見ていると「止めろよ」とアッシュがオックンに言い、車を止めさせた

「お前はここで下りろ」

「いやだ」

「！」

オックンの拒否にアッシュが驚いてオックンに振り返った

「これは僕自身の問題でもあるんだ！
キミのお兄さんは、僕の目の前で撃たれた…！
僕が跡なんかつけられたりなんかしたから…キミにあれほど、気をつけろって言われたのに」

『そうなの？』

「まあ、そういうことだね」

『だから撃たれた、ねぇ』

「不可抗力だし、結果オーライじゃん」

『誰も死んでないんだしねぇ』

私とカルマが言うと、オックンは後ろを振り返り頬をぷっくりと膨らませて「そういう問題じゃないんだよっ！」と言い返してきた

怒り方にも驚いたし、まさか言い返すとは思ってなかった私とカルマは目をパチクリと瞬かせ顔を見合わせて「くふっ」と笑い合った

「なっ、なんで笑ってるんだよ!!」

「あっははは!! 別に気にすることないんじゃない？
自分のせいにするクセある感じ？」

「なっ…！僕は真剣に」

『そんなに思い悩むことないって〜！そんなに考えてると禿げるよ』

「はげっ…！」

口をパクパクと動かしたオックンに対してひとしきり笑ったあと、私は窓の外を見つめた

だがまあ、これは問題といえば大問題だろう
私にとっての大問題は柳沢の復活だ。あいつは確か、誰かの手を借りないと動かないほどまでだったはずだ

なんの因果があってまたこんなことが

「瑞姫、聞いてる？」

『ん？』

「自分の身は自分で守れだってさ
足手まといはごめんだって言われたけど」

『はんっ！白樺さんが足手まといになるわけない』

「どこが？足手まといの化身じゃん」

『はああああん!? どこがですかぁー？私のどこが足手まといだって言うんですかぁー？』

「うわ、うざ」

カルマはべしんっと叩いてきた
アッシュとオックンは、私たちのそんなやりとりをルームミラー越しで見ていた