大王女様と山猫小僧2 (ページ3)

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アッシュside

「………………おい、なんでいるんだよ」

房を変えてもらうと言い出したはずのおっさんがなぜ同じ房にいる
普通ならもうとっくに違う房にいるはずなのに

「あ、あぁ…看守に頼んだが…今更無理だって断られちまってよ…悪いな」

「………………」

「………」

バツが悪そうに言ったおっさんだが、なぜか落ち着きがない
不思議そうに俺が見ていると、「おい、マックス！」と牢屋の入り口に男が現れた

「二つ先の牢屋!! おもしれえことになってるぞ！」

「え？」

「え、ど、どういうことだ？」

「猛牛ブルが日本のお姫様をモノにしてみせるってよ!!」

「なに!?」

「…瑞姫!!」

牢屋を出れば、すでに二つ先の牢屋には人だかりができていた

瑞姫side

『ふふふーふん、ふふふふーふふん』

爪やすりで爪を磨いていると、ガシャンと誰かが入ってきた
爪やすりから目を離しそちらを見ると、ガタイのいい男が立っていた

「ご機嫌じゃねぇか」

『ふふーん、まぁね～』

爪やすりをコトンと机に置いて、『よっと』とベッドから立ち上がる

『今日から一緒の同房の人？』

「あぁ…お姫様」

『あははは、本当にお姫様扱いしてくれるんだね～
けど………舐めんなよ、おっさん』

腕を組み、こちらに鼻の下を伸ばしている男に冷たい瞳で笑いかける

「ガーベイにはあの山猫小僧も許したんだってな…
お嬢ちゃんも許してくれるよな？優しくするから仲良くしようぜ」

『意味不明なんだけど???』

アッシュが許したから私も許してくれるという謎理論につい突っ込んでしまったのは日本人特有だと思う

「カーーワイーイ！」

「強がっちゃって!!」

飛んでくるヤジにどうしたもんかとため息を吐きながら2段ベッドの上段の方に頭を乗せる

『ねぇおじさん、私もこれ以上騒ぎを起こしたくないんだよ…
あんまり暴れたりすると嫌だしさ～』

「へぇ、そうかい…俺の下で暴れてくれりゃいいぜ」

『………………ダメだこの親父』