大王女様と山猫小僧2 (ページ17)

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14話逃亡の時間ページ17

「これは君たちの保釈許可証だが、もし逃亡したり罪を犯したりすれば、ただちに保釈は取り消される。いいね？」

「はい」

『はーい』

差し出された書類に一応目を通し、自分の名前をすらすらとサインする
書き終えた書類を提示すると、一応の確認が始まり終わるまでをじっと待つ

「…いいだろう、これで君たちは条件付きで自由だ
おめでとう」

「ありがとうございます、ミスター・スコット」

(あれー、猫被っちゃってるよ)

差し出された手に自分の手を重ねたアッシュを置いていくように、ボディチェックを受ける

『んじゃありがとねー、おじさん』

バイバーイと手を振ってそのまま面接室へと向かった
身支度も何もないので、持っていくものなんて特に何もない

『ま、コレは後にするか』

ジッパーに入れられていた小さなUSBメモリ
カルマがキスで口移しで渡してきたものだ

この中身を知るためには、この刑務所から出てからでないと意味がない

『ふふぬーーーん、ふふふふーーん』

手の中でポーンポーンとUSBメモリを遊ばせていると、パシッとUSBメモリが奪い取られた

『はああ!!?』

「なに持ってんだよ…」

『アッシュ』

私の持っていたUSBメモリをかざして「なんでこんなもの」と聞いてくると、『カルマから預かった』と奪い返す

「いつ？」

『この間の面会の時にね〜』

「あのキスか」

『そっ…どーせ、白樺さんの勇士の入った写真で』

「それはねえだろ」

『否定早いッ』

アッシュはUSBメモリを見つめたあと、「そのデータ、見るときは教えてねオネエチャン」と言ってきた

『このデータの中身が何かにもよるけどね』

「なんだよ、見られちゃまずいものでもあるのか？」

『いや、アレじゃなきゃいいなって話であって…』

「…？」

(このUSBメモリ…卒アルに入り切らなかったのじゃなきゃいいけど…)

殺せんせーとの思い出が詰まった大変大きな大切なもの

(つーかあいつ、アメリカにそんなもん持ってたわけ？
無くしたらどうするつもりだよ、バカか？)

(百面相…)

「おーーーい、瑞姫〜。またあの殺人サーブ打ってくれよー」

「ゴリラー」

『はーーーいッッッ!! お前ら全員白樺さんがギッタンギッタンにしてやるからね!!!』