天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ49)

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「ベソかいてたのか〜」

「イケメンでも、ベソはかくんだな〜」

『う、うるさいな…！』

「それにしても、英坊は変わんなぁな〜！」

「泰次郎おじいちゃんもね…」

わしゃわしゃと奥村の頭を撫でたおじいちゃんは、「母ちゃんたちは元気か？」と奥村に聞くと「もちろん」と答えた奥村

『おじいちゃんはなんでここに？』

「あぁ、ジムとは昔からの付き合いでな…」

『そうだったんだ…』

「そういや、クレアたちは今頃徳島か？うまいもん食って帰るって言ってたな〜」

『……………』

「京…」

『うん、俺も手紙でそう言われたよ』

「そうか、楽しみだな土産」

『……うん』

俺はおじいちゃんに何も言わずにいると、「裕人、行くぞ」とアッシュが声をかけてきた
俺は頷き、おじいちゃんに振り返って『またね』と手を振る

店を出た後、アッシュが小さい頃に住んでいたと言う家へと向かった

「あそこが俺と兄貴の生まれた家さ。俺とグリフィンは母親が違うんだ
俺の母親は、グリフィンの母親を追い出したくせに、俺を産むと今度は別の男と逃げちまったアバズレさ
そのうち親父がジェニファとあそこに住むようになって、ここは俺たち2人だけになったんだ」

家の鍵を開けたアッシュに、「アッシュ！」と後ろから声をかけてきたのは、さっきの店にいた女の人…どうやら、ジェニファという人

「ここはもう電気が通ってないの、それから食べ物を」

「サンキュー、助かるよ」

「……ねえ、あの人のことだけどね…
あんたが帰ってきてくれて、ホントは嬉しいのよ」

「あんたは優しいね。あんたみたいな人がなんであいつといるのか不思議だよ」

「お願いよ、そんな風に言わないで」

「わかったよ、ごめん…」

謝ったアッシュに俺は視線を晒した

「明日、店に来てね。朝食を用意するわ」

そう言って歩いて行くジェニファを見送ると、俺はボーッとする

「京？」

『…え？』

「入るよ？」

『あ、うん…』

みんなが中に入り、外には俺だけが残っていた
奥村のあとを追いかけて中に入ると、綺麗な部屋が広がっていた