天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ48)

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奥村をからかっていると、視界の端にアッシュが見えた
トラックにもたれたまま、浮かない顔をしている

『…？』

「京？」

『え？』

「行くよー」

「京〜」

『あ、あぁ…』

移動するためにみんながトラックに向かう中、俺は下に広がる街並みをもう一度だけ見た後、荷台へと向かった

『ここは？』

「俺の親父がやってる店だよ」

『グリーンヒル・ダイナー』

こじんまりとした店の中に入って行くアッシュ
俺は外で待つと言ってトラックの荷台に座って待つことにした

チチチッと小鳥が荷台の縁に留まると俺の方を見てチョンチョンと器用にこちらにやってきた

『ごめんな、餌は持ってないんだ』

俺の指先に止まった小鳥は俺が言ったことが理解できたのか、パタパタと飛んで行ってしまった

「もういっぺん言ってみろッ!! なんでそこまで息子を侮辱するんだ!!」

「やめろ！マックス！」

店の中から大声が聞こえてきて、俺は様子を見るために店の中に入った

『マックス、何を叫んで…………………え』

「………………裕人か！」

「きょ、京……あの、泰次郎おじいちゃんがいて」

『おじいちゃん？』

バーカウンターに座って酒を飲んでいるのは、俺のお母さんの父親、泰次郎おじいちゃんだった

「裕人、知り合いか？」

『あ、うん…俺のおじいちゃん』

アッシュが効いてくるのに答えると、「大きくなりやがって〜！」とおじいちゃんは俺を抱きしめてくれた
その時、肩の傷に当たり、『いっ！』と小さな悲鳴をあげると、おじいちゃんは「おっ！」とすぐに放れてくれた

「おい裕人…これどうした」

『あ、大したことじゃないんだ…ヤンチャしちゃって』

「お前が、ヤンチャぁ？」

『う、うん…』

「嘘つけェ！いっつも、裕樹の後ろにひっついて回ってた泣き虫だろ」

『なっ…泣き虫じゃ、ないよ』

「泣き虫だろ、泣き虫。クレアの後ろにひっついてベソかいてたりもしてたなぁ」

『なっ…!!』

おじいちゃんが恥ずかしい俺の過去を言うもんだから、キルトやショーターは、「へえ」と俺の両肩を組んできた