天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ40)

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アッシュside

グスグスと泣きながら英二が作ったモノを静かに食べる裕人は、ティッシュで鼻をかんだりと忙しなく動いている

「京、まだ食べるの？」

『ん"!!』

「わかったよ」

空になった皿を英二に突き出し、英二はその皿を受け取ってパタパタとキッチンの方へ駆けていく
その間、裕人はというとただ静かに涙を流すだけ

ホロホロと流れ落ちる涙は止まることがなく、ずっとずっと流れ落ちている
英二が戻ってくると、裕人は皿を受け取ってカチャカチャと音を立てながら食べる

『…お母さん』

その言葉だけ呟いた裕人は、飯を食い終えて部屋を出て行った

李家の力を借りて銃やトラックを用意してもらう手筈を整えると、裕人がいないと英二がそう言った
ショーター、キルト、俺、英二は裕人を探すために屋敷内を探し回るも、裕人はどこにもいなかった

「京、どこ行っちゃったんだろう…」

「どこか行きそうな場所とかわかんねぇか、キルト」

「さぁ…基本裕人は、図書館とかしか行かないし…行くとしても面倒だって言って、部屋で空を見上げてるぐらいだし」

「…空？」

「どうした？」

「………ここって、登れそうなところある？」

比較的に登れそうな場所を探すと、ほんの少しだけ真新しい汚れがあるのに気づき、俺が登って確かめることにした

「おーい、アッシュ、落ちるなよー」

「ならショーターが登ればいいんじゃねぇか？」

「お前の方が身軽だからな」

「ったく…」

何とか屋根の上にのぼると、青い空を見上げて吹き込む風に揺られている裕人がいた

両手を屋根の上につき、空を仰ぐその姿は同性の俺からしても綺麗に見えた

「裕人」

『！』

「英二が探してたぜ」

『…そっか』

俺に気づいて横目で見た後また青い空を見上げた裕人は、何も言わずにずっとそのままだった

「…行かなくていいのか？」

『どこに？』

「英二のところに」

『……もう少ししたら、行くよ』

まるで誰も近づくなとでも言いたいような声色で言った裕人に、「そうか」と答えて俺は屋根から降りた

「どうだった、裕人いたか？」

「あぁ、今は1人になりたいらしい」