天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ39)

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「おはよう、京」

「おはよー裕人」

『おはよう、奥村、キルト』

「よ、裕人。お前朝早いな～」

『あぁ、うん…クセだよ』

ガタッと席に着くと、アッシュと英二、キルトがショーターの作った朝ご飯に手をつけていた
目の前に出されたチャーハンを見ても俺は食べる気になれなかった

『……………』

「京」

『！』

「食べれない？」

『あ、いや…そうじゃなくて』

「食べれない？」

『………』

「「…？」」

『…あぁ』

英語じゃなくて日本語で聞いてきた奥村に、俺は素直に頷くと「わかった」と頷き立ち上がって、ショーターとキッチンに入れ替わりで立った

10分で「はい」と静かに目の前に置かれたのは、ホカホカのおかゆだった

「これなら食べれるだろ？僕の特製おかゆ」

『…………』

「キミの好きな味付けなんだぜ？」

奥村がスプーンを握らせてくると、「少しでもいいから、ね？」と一口だけでも食べてほしいという願いを込めた瞳を向けてきて、俺はおかゆに目を落とした

食べれるかどうかなんて今は考えたって仕方ない、奥村が作ってくれたおかゆをスプーンでほんの少しだけ掬い取り、口の前で止めて熱気を冷ますように息を吹きかけて口の中に運んだ

ふわっと優しい味が口の中に広がって、『おいしい…』とポツリとつぶやいた
あたたかくて、優しくて、包まれていくような感じがして、俺はまたスプーンでお粥をすくった

『うまい………うまいよっ………』

「うん、ゆっくり食べてね」

グスッと鼻が鳴った

昔から俺が体調を壊すと事あるごとにお母さんが作ってくれたおかゆと全く同じ味だった

「キミの力になりたくて、キミの好きなもの全部キミのお母さんに聞いたんだぜ？」

『っぐ…グスッ………』

「ゆっくり食べてね」

『ゔん…ぅん…』

カランッと手から零れたスプーンにポタポタと涙が落ちていく
震える俺を奥村がずっと背中をさすってくれる

俺は本当に奥村に救われてばかりだ

「……………」

「ほら、せっかくのイケメンが台無しだよ！」

『イケメンじゃない…』

「またそうやって言う！」

『うぅ…うまいぃ……』

「泣くか食べるか、どっちかにしろって…」

「裕人、顔グチャグチャ」

『ゔっざい…うぅ……』