天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ4)

今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:25,279 hit

9-3 ページ4

「…何をやらかしたんだ、小僧ども」

「……」

『…………』

「虫も殺さねえツラでよ」

「そういうのが案外殺人鬼だったりするんだぜ…」

「あまりつっぱらねえ方がいいぜ。少年院とは違うんだからな…」

『……………』

州刑務所には夜に着いてしまった
アッシュと共に歩き、ある牢屋の前に止まると「アッシュ・リンクス、入れ」と扉を開けられアッシュは俺を見る

「コイツは？」

「安心しろ、日本人だからな…一応、独房だ」

「………」

『…大丈夫だよ』

「………………またな」

『…あぁ…』

中に入っていったアッシュを見送り、俺は1番奥の独房まで歩かされた
2段ベッドに誰もいない牢屋

『本当に使っていいの？』

「同居人が欲しいならつけるが？」

『…いや、しばらく……1人がいいな…すごく今、誰とも話したくない』

「…そうか」

中に入れてもらい、ガチャンという施錠音とともに、『どうもありがとう』と礼を言って1段目のベッドに横になった

『兄ちゃんの写真、持ってきたらよかったかな』

壁には何か貼れそうだったし、兄ちゃんの写真やお父さんとお母さんと撮った家族写真とか…アパートにあるから奥村に頼んで持ってきてもらおうかな…

フカフカとは言いにくいベッドに寝転がり、枕と薄いブランケットをかぶって小さくなって眠りについた
明日は毎日の日課の夜明けや鳥の餌やりができない

あーあ、憂鬱だな…

俺はそう考えながら眠りについた

ー翌日ー

「おい、起きろ！起床時間だ」

看守が各牢屋の人間に怒鳴りつけるように声をかけて行く中、俺の牢屋にもやってきた途端「あ、起きてたのか」と驚いたような顔をされた

『4時からね』

「ずいぶん早起きだな」

『子どもの頃からさ』

牢屋の扉を開けてもらい、外に出て特にどこかに行くところもないので、自分に与えられた牢屋の前の手すりにもたれてどうするか考えていると、「裕人」と声をかけられた

『…アッシュ』

「よう」

『おはよう…』

「おはよう」

オレンジの囚人服に黒いインナーシャツを着こなしたイケメンの後ろには、40手前の男の人が立っていた