天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ27)

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『さっき、なんて言ったの…』

「え？」

『兄ちゃんがどうかしたの…』

「あ、いや…」

『何があったの…何か言ってよ、聞いてるんだよマックス』

「あ、いや…その……」

『………言ってよ、マックス！本当のことを…また裏切るのか…？兄ちゃんたちを見捨てたみたいに!!』

俺が言えば、アッシュは「落ち着け…」と俺の肩に手を置いた
俺は息を荒げながらマックスを見れば、彼はゆっくりと口元に手を当てた後、「裕人」と俺の名前を呼んだ

「どうか、落ち着いて聞いてくれ」

『………』

「ユウキが死んだ」

『え』

兄ちゃんが、死んだ？

『発作、で…？』

「いや、撃たれたんだ…ゴルツィネの一味に」

『……………………………』

「裕人…」

「裕人、なんて言ったらいいか…俺にも」

『…グリフィンは、無事なの…？』

「あ、あぁ…」

『…そっか…』

フラッと立ち上がった俺は、どうしようもない喪失感に襲われた

なんのためにアメリカに留学したんだ？
兄ちゃんを探すため、お父さんとお母さんに恩返しするため

「あ、おい、どこへ行く」

「裕人！」

「待て！まさか、脱走する気か!?」

『…………』

「よせ!! 射殺されるのがオチだ!!」

『その方がいい!!! もう俺には失うモノなんてもう…っ、もう何もない!!!』

童貞も処女も、両親も兄弟も、何もない
もう、何も失うものなんてない

『もう俺に構わないでくれ…これ以上つきまとわないでくれ…もう、うんざりなんだ!!』

「裕人…」

「裕人、落ち着け」

『落ち着け…？落ち着けるわけないじゃないか!!
お父さんもお母さんも兄ちゃんも死んで、落ち着けるわけないじゃないか!!』

「えっ…」

「どういう…」

『事故で死んだんだよ…つい数日前さ…旅行途中、居眠りしていたトラックが突っ込んで…即死だったって…
2人の次は兄ちゃん…？冗談じゃない……もう、やめてくれ…もう、俺をこれ以上苦しめないでくれ…俺を、殺してくれ……ッ』

生きてたって辛いだけだ…兄ちゃんもお父さんもお母さんももういないんだ

『死にたい…ッ殺してくれ……ッ』

「裕人…」

『ううっ…あ"あ"あ"……ッあ"ぁ…』