天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ17)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:25,275 hit

11-3 ページ17

「そういえば、京…さっきの人は？」

『…俺の大学の友達だよ…』

キルトのことを話すと奥村は「へぇ…京にも友達がいたんだね」と笑ってきた

失礼だな…俺だって友達ぐらいいる

「伊部、英二、そろそろ」

「あ、ハイ。じゃ、京、僕たち行くね」

『あぁ…ごめんな、こんなことになって』

「謝るなよ。京は悪くないんだ」

『…あぁ、ここを出たら奥村の日本食が食べたいな』

「もちろんさ！喜んで作るよ！」

席をたち、3人を見送るために歩き出す

「じゃあ、2人とも元気で。大丈夫、すぐ出られるよ」

「あぁ、今日は来てくれて嬉しかったぜ、英二」

『ありがとうな…じゃ、また』

「あ、京ちゃん」

『？』

「…ご両親のこと」

『大丈夫だよ、伊部さん』

「…そうか、無理はするなよ」

ぽんと肩に手を置かれ、俺は頷く

本当は辛くて叫び出しそうだ

「今度は1人で来いよ」

『…？』

「え、それ、どういう」

ゆっくりと2人の影が重なる

目の前に広がる光景に俺、伊部さん、チャーリーは「あぁぁ………」と言葉を失う

奥村がのけぞろうとしたにもかかわらず、腰を押さえて逃さないように舌を絡ませたアッシュ

見てるこっちが恥ずかしくなってくる

「じゃあな、スイート。バーイ」

『お、奥村…だ、大丈夫か？』

思わず日本語で聞くと、顔を赤くして口元を押さえている奥村が、「僕、ちょっとトイレ」とトイレの方向に歩いて行った

「英ちゃん、ひょっとしてファーストキスだったんじゃないかな」

『…俺、様子見てきます』

男子トイレの一角の個室のドアが閉まっている
コンコンとノックをすれば「あ、出ます！」と慌てる奥村の声が聞こえてきた

『あ、いや…奥村、大丈夫か？』

「あ、うん！」

『…奥村』

「え、な、なに？」

『…………頼むからな』

「！…わかったよ」

それだけ言い残し、俺は運動場の方へ向かった
何も言わない、けど伝わってると思うから

だからどうか、兄ちゃんを頼む…奥村

俺の…大事な人だから…