天使と悪魔の方程式 2【男主】 (ページ14)

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グッとシーツを掴む手が強くなって行く

「しかし、性格は似ても似つかねぇな
兄貴はおとなしい詩人と賑やかな絵描きだったが」

「そうさ、兄貴は文章を書くのが好きでよく手紙をもらった」

『兄ちゃんは絵を描くのが好きで、よく仲間の似顔絵を描いてくれてたよ
マックスのこともよく知ってるよ』

「そーだな、2人とはよく」

『あんたが………ッ、俺たちの兄貴を撃ったこともねッ』

「え」

ワナワナと震える拳をなんとか我慢する
俺のことはどうだっていい、けど兄ちゃんやお母さんやお父さんに何かあるのは許せない

『あそこへ置き去りにしたのも、知ってるよ…』

「それは違う!! あいつらは仲間を、あの状況じゃ仕方なかった
グリフたちはヤクで頭をやられて…皆殺しになるとこだったんだ!!」

「兄貴はアンタを信頼してたよ…手紙でよくアンタのことも…裕人と兄貴のことも書いてた
まさかその裕人の兄貴がユウキだなんて思わなかったけど」

『兄ちゃんたちを、あんたは見捨てたんだろう!!』

「違う！2人はあの後、本国へ送還されて俺は2人を探したんだ、でも…！」

俺はギリッと歯噛みすると、ベッドの布団を押し除けてベッドから降りた

「あ、おい！裕人!!」

『俺にとって兄ちゃんはヒーローだった…！
すごく優しくて強くて、アメリカで偉い人になるって頑張って日本を離れた…
俺にとっての身内はもう、兄ちゃんしかいないんだ…』

お母さんもお父さんももういない
俺に残された身内は兄ちゃんしかいない

たとえ俺のことが分からなくても、兄ちゃんさえいてくれたら俺は頑張れる
それだけで生きていける

「裕人」

『もう、俺に構わないでください…おやすみ、マックス…
俺、マックスのコラム大好きだったよ』

「裕人！」

バタンと医務室のドアを閉めた後、自分の独房へ向かった
兄ちゃんが生きていてくれただけでも嬉しい

だけど、だけど…

『兄ちゃん…』

大好きな兄ちゃん、かっこいい兄ちゃん

死なないで…