元殺し屋はヒーローになる18 (ページ7)

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「それは…」

『こっちは6歳のとき、こっちは10歳で…こっちが7歳、この切り傷の痕が9歳で…こっちが12歳、13歳、14歳…
で、このひときわでかいのが16かな
いつ怪我したのかはいちいち覚えてないけど
あ、このでかいのは冬前のヒーロー育成推進プロジェクトのだったかな？
焼いたナイフ当てて止血した』

淡々と自分の傷の箇所を押さえて思い出すように言った青子に俺は驚き、傷に触れた

「なんで、こんな…」

『ヒーローだし、こんなの気にしてたら人守れないじゃん』

コイツは…自分のことなんてどうでもいいんだ
ただ、目の前にいる人間を救えるヒーローになりたいと思ってるんだ

「俺は…っ」

『！』

「青子が自分のことを軽く見るのが嫌だ!!!」

『アッシュ…』

「…死に急ぐような真似はやめなさい
相手のためでなく、自分のためにも考えなさい」

『………………………………だって、そんなの…意味ないじゃん』

「「！」」

『どれだけ助けてって言ったって、誰も聞いてくれなかったんだ…
どれだけ手を伸ばしても、誰も掴んでなんかくれなかったんだ…
手の届く範囲で助けを求めてる人の手を全部掴みたいと思って何が悪いの…
取り返しのつかない戦いがあって、どれだけの被害が出るかわからないから考えなきゃいけないんじゃないか

お前らに何がわかる!! “個性”という力を持たされて、その力が強大だったことだけで目をつけられ、誘拐され、痛めつけられ、絶望した時、自分が立ち上がらなければ何の意味がないとわかったのに…!!!

お前らに何がわかるって言うんだ!!
好きでそうしたわけじゃない!!! 助かるにはその道しか残ってなかった！
だから人だって殺した！いけないことだとわかっていても、そうしないと私は死んでた!!!
どれだけ殺したかわからない！どれだけ自分の手が汚れてるのかわからない！

お前らになにが、なにがわかるっていうんだ！
“個性”があるせいで苦しめられた人間も、“個性”がないせいで、なりたいものを一度閉ざされた人間も
“個性”の強さのせいで苦しめられた人間も、“個性”のせいで辛い目にあってきた人間も、私は知ってる!!!

そいつらのために、無個性でも、笑って暮らせる世の中にしたいと思ってる…！
ここまで考えて自分のために考えろ!?

ふざけんな!!!』