130話 記憶 ページ45
フワフワとした…どこだろう
「まぁ、かわいい子！」
「そうだな…」
誰…？
「ほら、抱っこしてごらんなさい」
「……柔らかい」
「そう、あなたの大切な「ー」よ」
「俺の…大切な………」
「これからはお前が守ってやるんだぞ」
「…うん」
誰？
視界がぼやけていて全然見えない
ここはどこ？
目だけをキョロキョロとすると、「ふふふ、ぷくぷくね」と女が笑う
「こんにちは、「ーー」。私は「ーー」、あなたの「ーーーー」よ」
なんて？なんて言った？
聞こえない
「俺は「ーーーー」だよ」
「「ーーーーー」だよ…」
「ふふふ、私にそっくりね」
「青い瞳なんて特に」
「…「ーーー」に似てる…」
「お前は俺似だからな」
だから、誰なの？
「「ー」、早くお逃げ!! ここにいちゃいけない！逃げるんだよ！」
「で、でもどこに…！「ーー」だって、まだ」
「どこへでもいい、二度とここには帰っちゃいかん！」
「早くお逃げ!!!」
「「ーーーーー」！「ーーーーー」！」
誰、誰だよ
「逃げるんだ!!! “日本”へ!!!」
．
『(ﾊｯ！
あぐっ…………ッ！ってぇ……』
痛みが激しくなって体を折ると、「動くな、出血がひどいんだ」という凛とした声が聞こえてきた
『ショー…カー？』
「傷の痛みはどうだ？」
『…いた、い…』
「鎮痛剤を一応打ったんだが…」
『ここは？』
「安全な場所だ…一応、外から攻撃されないよう防御線を張ってある
しっかり休むんだ…」
『で、も…6時から』
「そのために休むんだ…今現在、お前の体を超回復の“個性”で再生している
最近、ちゃんと眠っていないんだろう？
そんな状態で治そうとすれば、発動するはずがないだろう」
布団をめくってみると、腹部に巻かれた包帯はじわじわと赤く染まっていた
「…青子、頼むから無理をするな…見つけた時、心臓が止まるかと思ったぞ」
『…ごめん…』
「…本当に、心配したんだぞ」
カタカタと震えるショーカーの手を引いて、ベッドに座らせると、コトンと肩口に額を当ててしがみついてくる
「本当に…っ、怖かった…っ！」
『………………』
「まだ右も左も分からない…俺を拾ってくれたお前が………ッ、血を流して倒れているのを見てッ…！」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年5月8日 8時
