元殺し屋はヒーローになる18 (ページ5)

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マービンが戻ってこないことを確認して俺とブランカは問題の部屋の前に立つと、静かにノックをした

「青子、俺だよ…アッシュだよ」

コンコンとノックを数回するも、中からの返事はない
いないのか？

ｶﾞﾁｬｯ

「開いてるぞ…」

「え」

中に入ると、薄暗い部屋の中にベッドの上に誰かが横になっていた

『ってぇな…あの豚野郎……』

「青子!!」

『…え？』

中に入ると、服は破けてあざだらけになっていた青子がいた
あのマービンに何をされたのかすぐにわかった

『ア、アッシュ…え、なんで……』

「大丈夫かい？」

『ブランカ…なんで』

「キミを探していたんだよ…ひどいことをされたね
他に何かされたかい？」

『別に…まだするつもりはないって言って部屋出てったけど…』

ブランカが青子の頭上で縛られている縄を解くと、赤くなっているのが見えた

「立てるかい？」

『あ、うん…』

「青子…」

『大丈夫大丈夫、なんともないから』

わしゃわしゃと俺の頭を撫でた青子は、いつものような調子でそう言うと、『けど、このまま逃げていいのかな』とブランカを見て言った

「なぜ？」

『アイツ、私が逃げることないってわかってるし』

「逃げないつもりかい？」

『………………………』

「青子…俺には抵抗しろって言ってたのに、なんで自分は抵抗しないんだよ」

『いざと言うときは身を守れるし…』

「でもっ…！」

『……』

それじゃ意味がないのに…
俺はそう言いたいのを抑え込み、ぐっと唇を噛み締めた

「でも、ここから逃げることをオススメするよ」

『……はぁ…わかったよ。逃げるよ、逃げればいいんでしょ逃げれば』

両手をあげて降参だよとでも言いたげな顔でそう言った青子の手を引いて、俺とブランカは安ホテルを出た

後部座席に青子を乗せ助手席に乗り込み、また1時間かけて戻る

「で、どこに向かうんだい？」

『この地図通りに向かってくれたらいいよ』

「これは？」

『私のセーフティハウス』