元殺し屋はヒーローになる18 (ページ32)

今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:23,245 hit

128-4 ページ32

「青子…なんでアメリカに？」

『あぁ…兄さんに頼まれたことを調べるために渡米したんだ』

「頼まれたこと？」

『マフィアのことだよ…』

「えっ、マフィアって…」

『実はさ…』

ゴニョゴニョと磯貝の耳にコソコソと言うと、「えぇっ!?」と体をのけぞった磯貝は「本当かよ、それ！」と大きな声で言う

『本当じゃなきゃ、こんな話ならないっての…』

「じゃあ、卒業したら」

『アメリカに3年ぐらいかけて叩きのめす』

「うわぁ…」

『その時は、E組の力を存分に借りたい』

「！」

『ダメ？』

覗き込むように磯貝に聞くと、「ダメなわけないだろ」とわしゃわしゃと頭を撫でられた

「お前はいつも一人でやろうとしすぎなんだよ」

『いやー…なんかもう、職業病みたいな感じかな…爆豪かっちゃんにも言われた…』

「え、なんて？」

『ワーカーホリックだって言われたよ…確かにそうかもしれない
10年間、生きるためになんでもやってきたから』

「……青子」

『…大丈夫、ちゃんとセーブするから』

「…あ、あぁ」

ぱんっと磯貝の背中を軽めに叩き、座っていたベンチから腰をあげる

『本当はさ』

「？」

『死ぬほどやりたくないし、投げ出したいほど嫌なんだ』

「！」

『だけど、誰かがやらなきゃこの戦いは止まらない
敵の脅威は止まることを知らない
この戦いを終わらせるためには、誰かが動かなきゃいけないんだ』

「…青子がするのは、なんで？」

『…救われない気持ちをよく知ってるから
磯貝だって知ってるだろ？10年間、どんな奴らに捕まっていたか』

「っそれは」

『私は許さない』

「！」

『何もできないと言って切り捨てるヒーローも、それを平気で見ている人間も、動かない人間も、救けると豪語して結果を出さない人間も、私は許さない』

何を言われたって構わない
私がやると決めたからには、やるしかないんだ

『つきましては磯貝くん？』

「？」

『どうやってアメリカに来たの』

「殺せんせーに頼んだんだ」

『…その様子じゃ、帰りは飛行機か……わかった、自家用のジェット機使っていいから先に帰ってた方がいい』

「え、でも…もう日本に帰るんだろ？」

『あぁ、まぁね…だけど、少しやらなきゃいけないことがあってさ
帰るのはそれを終えてからになる』

「そう、か…」