元殺し屋はヒーローになる18 (ページ31)

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「那歩島でも、E組の時も、USJの時も、いつもそうだ
お前は絶対に無茶して帰ってくる…」

『……』

「頼むからっ…」

『…！』

「俺たちの前からいなくならないでくれ……ッ」

グッと握られた服にはシワができて、プルプルと震える磯貝からは涙が流れていて、E組にいた時にはあまり見ないほどの泣き顔で…どれだけ磯貝を傷つけたのかわかった

『…わかってる』

「わかってない…！」

『磯貝…』

「どれだけ、心配したと……ッ」

『………』

ポカポカと力の弱いパンチが打たれる中、黙って磯貝を抱きしめる
ねぇ、オールマイト…ナイトアイにもこんなことさせたの？

自分のことを心配させて、ボロボロにさせたことあった？
そうだとしたら、私は最低なやつなのかもしれない

誰にも心配させることのないと決めた緑谷と違って私は、みんなを心配させてる

『あーあ、磯貝のおかげで死にそうなぐらい辛いんだけど』

「俺の方が辛いに決まってる!!!」

『泣きギレ…おいおい、イケメンが台無しだぞ』

もうすでに服は涙のおかげで濡れていて、だけど磯貝の涙が止まることはなくて…10分弱はこのままだった

『なーあ、磯貝』

「…ひっ…ぅっ…」

(どーしたもんかね)

ぽん、ぽん、と磯貝の背中を優しく叩くも磯貝は全く反応を示してくれない
というよりも、無視を決め込んでずっと泣いている

『磯貝』

「…？」

『それ以上泣いたら、綺麗な目が溶けちゃうよ』

「………ばかやろぉ」

『うおっ!?』

「…頼むから、本当に…いなくならないでくれ…」

『…いなくなんないよ、みんながいるもん
渚が先生になるところも、カルマが官僚になるところも、ちゃんと見たいもん』

みんなが頑張って叶えると言った夢を見届けたい

みんなのその道に何かが阻むと言うのなら、超える手助けをする

その道に何かが邪魔をしてくるというのなら、私が喰ってやる

『落ち着いた？』

「あぁ…悪い…」

『んにゃ、磯貝の心の内が聞けてよかったよ』

鼻先が真っ赤で目も赤くなっている磯貝に濡れタオルとミネラルウォータを手渡す
アッシュは磯貝をチラチラ見ているし、磯貝は「ゔー」と今もまだグスグスしている