元殺し屋はヒーローになる18 (ページ30)

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「日本はどんなところなんだ？」

『人がゴミのようにいる』

「こことは変わらないな」

『田舎の方に行けば少ないよ。私がいるところは人も敵もたくさんいるし』

「どこ？」

『東京の椚ヶ丘市。今は静岡あたりの雄英高校に寮生活、ハイツアライアンスって言うんだけどね』

「寮生活？」

『男女共同だよ』

「…は？」

『まぁ、共同って言っても1階部分のスペースだけだけどね』

「………」

『あとは』

「夏休み合同鬼合宿だろ？」

『ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?』

ドンガラガッシャンという効果音がぴったりなほど私がベンチから滑り落ちるのと同時に、どこかにつかまろうと伸ばした手をグッと掴んで引っ張り上げたのは、我がクラスが誇るイケメン委員長

『い……っそが、い～…』

「よ、この間の電話ぶりだな」

『ハハハハ…熱烈なご登場だことで』

「あぁ、約束を守りにきたんだ」

『約束？』

グンッと引っ張られてそのままちゃんと立つと、パァンと叩かれた
近くを通っていた人やジョギングをしていた人、アレックスたち、隣に座っていたアッシュ、この風景を見ていた人たち全員の動きが止まり、青ざめた顔になる

ジクジクと痛む頬とじんわりと帯びてきた熱を感じていると、「本当に、心配したんだぞ」と涙ぐんでいる声が聞こえてきた

叩かれた頬に手を添えながらゆっくりと磯貝に向けば、涙が浮かんでいた

『いそが』

「俺はっ」

『！』

「いつもお前に助けてもらってばかりだった…
家のことも、バイトのこと、殺せんせーがいなくなってからの短期間、お前は俺たちのことをよくしてくれた……なのに、お前は……また無茶ばっかしやがってぇ」

『えぇっ!? ちょ、磯貝!?』

ポロポロと瞳から大粒の涙が出てきては、手でゴシゴシと拭う磯貝
もはや修羅場だ

「泣かせた」

『あぁん!!?』

「ゔ…っ」

『だーーもーー！泣くなって!!』

「青子…っ」

『わかった、わかったって!! お前らに泣かれるとどうしたらいいかわかんなくなるんだよ…』

わしゃわしゃと磯貝の柔らかい髪の毛を撫でながら泣き止ませる
アッシュは「泣かせた泣かせた」とからかってくる

「本当は、雄英から、連れ去るつもりだった」

『しれっと何言ってんだ、磯貝』

「いいから聞け」

『あ、はい』