元殺し屋はヒーローになる18 (ページ25)

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「じゃあ、ヒーローって銃の勉強とかするのか」

『しないことはないけど、こういうのがあるっていう雑学としては勉強するよ
扱いを知っておいた方が被害を抑える時に役立つからね』

「ヒーローも大変なんだなぁ…無個性だし、興味ねぇからそんな勉強してるとは思わなかったぜ」

「日本も物騒だな」

『否定はしないよ』

安全な場所があるのなら、見てみたいよ

「こらーーー!!! “ハナ”ーーーーーーー!!!」

『(ﾊﾞｯ！』

「「？」」

『………………』

「お母さん！」

「もう、ダメでしょ！」

「えへへへ…」

後ろから大きな声で名前を呼ばれたと思って振り返れば、5歳ぐらいの女の子が母親に叱られていた
うさぎのぬいぐるみを持って母親の足に抱きついて「ごめんなさい」と笑っている

「青子？」

「あの親子が何かあったのか？」

『……………』

「青子？」

『…………………………あんな風に、あの人も呼んでたのかな』

お兄ちゃん…私は、お兄ちゃんにもっと笑っていて欲しかったよ
オヤジ様のためだけでなく、自分のためにも…“個性”が病気だと思ってほしくなかった

ただ、お兄ちゃんにもヒーローになって欲しかった

「お姉ちゃん！」

『！』

「お姉ちゃん、どうして悲しそうなの？」

「ちょっと、ハナ…！すみません」

『いえ…。あなたのお名前、ハナっていうの？』

「うんっ！素敵な名前でしょ！」

『…そうだね』

花のように可愛らしいこの子と、全てを破壊して無にする「破無」とは大違いだ
この子の名前は…本当にこの子に合ってる

『私も「はな」っていうんだよ』

「え…」

「そうなの!? 私と同じ!! どんな字を書くの!?」

「ちょっと、ハナ…」

『……こう書くんだよ』

「…なんか可愛くなーい」

「こらっ！」

『構いませんよ』

紙に書いて見せた名前にハナはむーっとした

「意味はなんていうの？誰がつけたの？」

『私の両親が付けたらしいよ…意味は…』

「うんうんっ！」

『「全てを破壊して無にする」…そう、言われてきたよ』

「…なんだか怖いね」

『うん、そうだね…』

どうしてこんな名前にしたのか、今では知る術もない