元殺し屋はヒーローになる18 (ページ21)

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「またケンカしたそうじゃねぇか、破無
相手は重態で病院送りだそうだな」

『……………』

「…兄貴のように危険なことをしていないことは別にいい
だがな…何を言われたか知らんが、一方的に殴るな…てめェはヒーローになるんだろ」

『…殺さないだけマシでしょ』

「やりすぎなんだよ、おめぇはいつも…
人から外れたことはすんじゃねぇぞ」

「理想を並べるだけじゃ死にゆく一方だ。なんでわからない…！
オヤジ、本当は何も考えてないだけじゃないのか…！破無が幸せになって欲しいのは俺の心からの願いだ…！
破無がヒーローになると言った時は、心底嬉しかったが敵となるかも知れないのを考えない日はなかった…！

破無が他人から蔑まされているのが気に食わない…！
ただ破無が助けるために人を殴った、それだけだろうが…！」

「ヤクザが再び裏社会を治める。…………まァ、現実味のない話ではありやす。お嬢自身が賛成してない時点で、どうするんですか？」

「…必ず実現してやる…破無が幸せに暮らせる世の中に」

『………………………………』

私は

「治崎。ダメだと言ったはずだ
あの子達を…人をなんだと思ってんだ
言っただろうが…破無は敵に…攫われた
それでも尚、自分と同じ立場にあった人間を救わんとしようとヒーローを目指している
おめェ…………その考えを打ち壊してんだぞ
愛する妹の大切な夢を、おめェ自ら壊してんだ

ウチの考えに背きてえなら、おめェ…もう出てけ」

「違う…。…拾ってくれたあんたに報いたいだけだ」

『お兄ちゃん、やめて!!
オヤジ様を………!!』

「いいから…。……黙って見ててくれ」

オヤジ様は恩人だ

お兄ちゃんは英雄気取りのヒーロー(病人ども)がオヤジ様を隅へと追いやったと思ってる

計画が軌道に乗って死穢八斎會が大きくなったら、修復すると

私は、言えなかった

歪んだ思いを抱えた兄に対して、何も言えなかった…いや、言わなかったが正しい

そのクスリが完成してしまったら、どうなるかなんて目に見えてる

あまりにも恐ろしいそのクスリの完成をなんとか遅らせることはできたけど、完成してしまった

そしてそのクスリが現在、敵連合の手に落ちた
回収しないと危険なことになるのは一目瞭然だ