元殺し屋はヒーローになる18 (ページ17)

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路地裏に入ってきたアッシュたち
どうやりすごそうにもバレる場所に隠れている私は、足に力を込めて立ち上がり一気に走った

「あ、おい！」

「待て!!」

「青子…？」

バレた、絶対にバレた…！
けど、さっさと逃げれば問題ない

ﾄﾞﾝｯ

『っ！』

「あ…大丈夫かな？」

『えっ』

全身が硬直したように固まった
誰かにぶつかって謝って走らないといけないのに、足がすくんで動けなかった

だって、声が
このアメリカにはいないはずなのに、今は“タルタロス”にいるはずの巨悪なのに

ゆっくりと顔を上げれば、優しそうな男の人が立っていて、私を心配しているような顔だった
だけど声は、あいつだった

「怪我をしてるじゃないか…！早く病院へ」

手を伸ばしてきた男に私は血だらけの手ではたき落とし、急いで逃げるように走った
足がガクガクして思うように走れないし、こけそうになりながらも走った

「青子!! 待てって!!!」

『放して!! 逃げなきゃ…逃げなきゃ!!!』

「誰から!? 何から逃げるんだよ!!!」

『な…にから？』

手首を掴まれて走ることができずに引き離そうとしても引き離せない

何から…逃げる？

“僕からは逃げれないよ”

幼い頃からずっと言われ続けたあの言葉は耳から離れない
時折思い出すあの頃の記憶…苦しめられた記憶しかない

「…青子、肩…血が！」

『……………………』

落ち着け…アイツはここにはいない
日本のタルタロスに収監されている

大丈夫、脱獄なんて無理だ
大丈夫、大丈夫…落ち着けばいい

「青子…」

『…ごめん、取り乱して…ちょっと驚いただけ』

「でも…」

『………大丈夫、大丈夫だよ』

もう、10年も経ったんだぞ…
いつまで縛られてるんだろう…

バカみたいだ

「撃たれたのか？銃の傷だろ…」

『あ、うん…ついさっき…後ろから狙撃された…あれ』

「？」

『…………なんで』

なんで肩だったんだ？
私の肩を正確に射抜く実力があるなら、普通は頭だ
だけどあの時、私のことを殺すと言う気配はなかった

じゃあなんで…一体、なんの目的で