元殺し屋はヒーローになる17 (ページ8)

今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:26,181 hit

119話戦法ページ8

ﾊﾞﾁｯ

「うわっ！…くそっ！」

『はい、負けー』

「んぶっ」

木刀での対人をしていれば、吹っ飛ばされてすぐに立ち上がろうとするアッシュの鼻先に木刀の先を向ける

「くそっ」

『筋はいいんだけどね～』

「なんでそんなに立ち回りが早いんだよ」

『んー、自分の体の動かし方をよく知ってるから…かな
どんな動きをすれば、こんな風に動くとか考えて動くと結構楽しいかったりするからね』

「………」

『一番大事なのは、自分の体がどう動くことができるのか
回し蹴りをした時、どんなふうに足が動いているのか
胴回りの動き方、腕の振り方、全部研究しろ
やり方はなんだっていい、あのブランカって人に手合わせしてもらうのもありだからな』

「青子は？」

『私はもう少ししたら帰国しないといけない』

「え」

『私も学生だからね。ここにいるのは半分インターンっていうヒーローと一緒に仕事をするもの
ヒーローと同等に扱われるから、自由に動けてたけど…“次”はそうもいかないから』

次アメリカに来るのは、いつなんだろう…

「なにか、日本であるのか？」

『…でっかいのが待っててね…下手すると死ぬかもしれない』

「青子が？」

『…多分ね。死なないように頑張るけど…被害がどれだけ出るかわからない…
だけど…やらないといけないんだ…』

誰かがしないと、誰かがやらないと、平和はこない
なんのためにヒーローがいるのか、なんのために人々を守るのか

そこが壊れてしまったら、もう取り返しがつかなくなる

「自分の命を犠牲にしてでも、することなのか？」

『…でないと誰かが死ぬんだ』

「青子がする必要、ないだろ」

『そうかもね。だけど、これが成功すれば…人の心に明るさが戻る、笑顔が戻ってくる
ヒーローとして、それ以上の嬉しいことはないよ』

ヒーローが「ヒーロー」としての役割を果たせなくなってしまったら、もうこの世は「敵」が支配する世界になってしまう

オール・フォー・ワンの時代が来てしまう

『オールマイトが繋いできた平和な時代を、これ以上敵連合の好き勝手にはさせない…』

たとえ、人から蔑まれるようなやり方だったとしても、守るべきものを守るためなら…本望だ