元殺し屋はヒーローになる17 (ページ6)

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『話してくれてありがとう…』

「…タコおやじに言う？」

涙を拭いて鼻を鳴らしたアッシュは私とブランカを心配そうに見上げてそう言った

私はブランカをチラリと見ると、彼の答えはもう決まってるらしく

「いや、キミが望まないなら…言わないよ」

『私もね。いつかアッシュが自分の手で罰したいのならそうするといいよ』

最も…その時はきっと私もいるだろうけどね

アッシュはほんの少し黙ったあと、「…ふふっ」と笑い始めた

ブランカの前で笑うのって何気に初めてか…

「なんだい？」

「あんた、そーゆーカッコてんで似合わねーなあ
貸し衣装みたいだぜ」

「ン？似合わねーか？」

「ますます似合わねー。スラングなんてやめとけって」

年相応に笑うアッシュにほんの少し安心した

さてと…マービンの件、ちょっと深く掘り下げておくか…

『んじゃ、服のサイズ見てね。適当に私のサイズで買ったから』

「…………」

『え、なに？』

「別に…」

『あ、そう…』

(俺よりTシャツのサイズはでかくて、パンツは俺より足が長いだ!? 腹立つ…!!)

なんか怒ってる…なんで怒ってるんだろう…私なんか変なことしたかな…

『んじゃあ、今日はこのまま事務所行こっか』

「いいのか？こんな時間から」

『気にしなくていいよ。兄さんたちもアッシュのこと歓迎してくれてるし』

「へぇ、お兄さんがいるのかい？」

『そ・れ・が・な・に・か？』

「おやおや、嫌われてしまったようだな」

絶対ついてくんなよ。と言うオーラを出しながらブランカに答えると「じゃ、また明日」と言って歩き出した

『さ、行くか』

「…あの、ロゼリア」

『ん？』

「…ありがとう」

『お礼なんていらないよ。アッシュが無事ならそれでいい』

「…あぁ」

『ああ、それと…私はロゼリアじゃないよ』

「え？」

コツン、と立ち止まりアッシュに振り返る

『ヒーローネームは「レモント」。本名は夜神月青子、よろしくねアッシュ』

「…青子」

『そ、よろしく』

「…青子、青子か…いい名前だな…」

『まぁね～。気に入ってる』