元殺し屋はヒーローになる17 (ページ46)

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バサバサと飛んでいく鳩を見送り、唖然としているアッシュを放って私は背もたれにもたれた

賽は投げられてる
今更どう足掻こうと、全面戦争になることは決まってる

そこでどんな未来が起ころうと、私にはA組を守る義務がある

『アッシュ、これから本屋に行くけど着いてくる？』

「いや、アジトに戻る…頭がぐちゃぐちゃになりそうだ」

『そりゃ目の前で鳩が喋りゃな…』

無個性のアッシュにしてみれば、ヒーローなんてクソ喰らえだろう
といっても、アッシュの存在を知っているヒーローなんて私たちぐらいだろう

『んじゃ、気をつけなよ』

「あぁ」

アジトの近くまで送ってやり、そこからは仲間がいるだろうからきっと大丈夫
誘われても今度は抵抗しろとキツく言っておいた
もちろん、抵抗せずされるがままだったら二度とお前と話さないからなと釘を刺すとアッシュは「絶対に流されないからそれだけはやめてくれ」と懇願していた

『……で、何の用？さっきからずっと…』

アッシュと別れてから1時間
かれこれずっとつけられている

路地裏に入って壁にもたれながら私を追いかけてきた人間を待ち構えると、「なっ」と私に驚き一歩だけ後ろに下がった

『どう見てもゴルツィネの部下だな…』

「おい、なんて言った」

『Mr.ディノの部下だねって言ったんだよ』

男は「来てもらおうか」と言って銃口を向けてきた
伊達にヒーローやってないから、銃の扱いはわかってる
暗殺教室の人間舐めんなコラ

…とまあ、抵抗したいところだけどここは街中しかも、路地裏だ
もし銃弾が路上にいる人間に被弾してしまった場合を考えて私は男に従う様に後を追いかけた

「久しぶりだなぁ、タフガール」

『…マービン』

車から降りてきたのはアッシュを苦しめた豚だった
マービンはサングラスの奥から私を舐め回すように見てきた
あぁ、この目線…知ってる

『で、何の用？私も暇じゃないんだけど』

「お前のおかげで、アッシュとヤれなくなったからな…」

『そりゃ残念。だけど、それは私のせいじゃない』