123話 好意 ページ42
アッシュside
ホットドッグを買ってきて渡せば、青子は無言でホットドッグを食べ始めたのと同時に、スマホの画面をカツカツと指で操作し始めた
「な、なぁ青子」
『…ん？』
「あの、日本語…教えて欲しい」
『…んあ？』
ポロッと手から落ちたホットドッグを俺がなんとかキャッチすると、『え、日本語？』と聞き返してきた
「あぁ…もし、いつか青子のいる日本に行くってなったら…」
『………』
「だめ、か？」
『…だめじゃないけど…日本語難しいよ？母音が基本だし、言い方一つで相手怒らせるよ？』
「…………」
『でもまあ、人を煽るレパートリーは豊富になるから最高の言語だけどね』
青子はメモとペンを取り出すと何かを書き始めた
『これが「あ」』
「あ？」
『そうそう。「い」』
「い」
紙に書かれたものを見るのと口を動かすのを同時にする
『で、これが「お」』
「お」
『うん』
あ、い、う、え、お
難しい
「なあ、これは？」
『「す」だよ』
「す？」
『「す」』
「す…」
『そう、「す」』
…日本語ではどうやって言うんだろう
「青子」
『ん？』
「これは？」
『えーと…いや、これ「う」…』
ﾊﾟｼｯ
「………………」
『今何しようとした、クソガキ』
ほんの少しだけ唇を尖らせた途端にキスしてやろうとした時、後数ミリだったのに青子の手が間に入ってキスはできなかった
「いいだろ、キスぐらい」
『ダァメ』
「どうしても？」
『ダーメ』
俺がむくれながら「ちっ」と舌打ちをすれば『なんでそんなにキスしたいの』といつもの調子で聞いてきた
「好きだから」
『…ん？』
「青子が好きだから」
『……………んん？』
「I love you．」
『…んっ!?』
今度はメモとペンが落ちた
カランッとペンが落ちた音がするのと同時に、俺は「好き」と再び言えば『おまっ！…ホント、はぁ…』と頭を抱えた青子
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年4月16日 22時
