121-6 ページ35
ほんの少し眉を下げて笑っているアッシュに、私は目を逸らして血みどろのパンツを黒い袋に入れた
『アッシュも大事な奴だよ』
「え？」
『私にとっての価値観はそれぞれだよ
私にとってその人に対する価値観はすごく違うけど…全員大事な友達だし、大事な人たちだよ
そりゃあ、見捨てちゃう時もあるし、傷つけてたり大嫌いだーって言ったりするけど……』
「………」
『でも、守るためには自分の気持ちを犠牲にしてでも守らないといけない時があって、それに直面した時に余計な感情があったら…守るものも守れないと思うんだ
でもそれは、本当に見捨てなきゃいけない時であって、それ以外は見捨てる気は毛頭ない』
緑谷が、爆豪が、焦凍が、渚が、カルマが、アッシュが、そう望むのなら、みんながそう望むのなら私はどこにいたってみんなを連れ出してやるつもりだ
そこにいたくないというのなら
そこから逃げたいというのなら
『私はどんなことでも、叶えてあげたいと思ってる』
「…………」
『そいつが望むどんなことでも叶えてあげたい
そいつがやりたいということなんでもやり遂げさせてあげたい
自由を掴むのも、飛び出すのも、その人次第
何がしたいのか、何がやりたいのか、その人が決めたことなら、応援するし手を貸す
たとえそれが、神に逆らうことだったとしてもだ』
アッシュside
神に逆らうことだったとしても
それは、青子が口にするだけでも十分に重くのしかかるような言葉だった
青子は…きっと、俺がここから逃げたいと言ったら逃してくれるんだろう
だけど俺がそう言わないのは…青子に迷惑をかけてしまうというのを知っているからだ
俺は男娼で人殺しだ
青子が許しても周りが許してくれない
青子は綺麗な人間だ
俺のような汚い人間とは違う
眩しくて俺には手が届かない“自由”に手が届く
飛び立てる翼がある
俺にはないものを、青子は持っている
『望んではいけないことなんてなにもない』
「！」
『誰だって望んでいいんだよ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年4月16日 22時
