元殺し屋はヒーローになる17 (ページ31)

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『…………』

変に目が覚めてしまったので、汗を流すためにシャワーを浴びてラフなTシャツと短パンを着てベッドに座った

『………………』

窓を開けて外を眺めれば、キラキラと星が輝き月明かりがまたさらに濃くなっていた

『………………………………………』

「こんなところで、ひとり月見ですか？」

『っ!!? こっ…殺せんせー…』

「ヌルフフフフ、こんばんは青子さん」

『…どうして』

「この間キミに貸した参考書、もう一冊渡しておこうと思いまして」

窓のヘリに殺せんせーの触手が絡み付いて落ちないようにしてある

『…ここじゃ目立つから外に出ようよ』

「えぇ、そうしましょう」

手近にあった上着を羽織り、外に出れば先生は簡単な変装をしていた
一応国家機密でもあるので、変装しておかないとまたミサイルが飛んでくる

「キミがアメリカに来ていると相澤先生に聞いたときは驚きました
日本でのインターンは一旦お休みに入っているとお聞きしましたが…」

『うん、まぁ…』

「にゅ？どうかしましたか？」

『………殺せんせー、私は……ヒーローになるべきなのかな』

「…………………」

『時々、考えるんだ…
オール・フォー・ワンのことや、兄のことを…
私は幼少期から敵のことばかり見てきたから、ヒーローの裏面しか知らない…』

「…………いいヒーローなどいません」

『…！』

「全ての人間を救えるようなヒーローは先生は見たことがありません
あのオールマイトですらそれは叶わなかった」

『……』

「でもね、青子さん。ヒーローとは、常にピンチを覆してくるものなのでしょう？」

『……！』

いつかの、オールマイトが言っていた言葉が蘇った

「キミほど頭が回る人間を先生は見たことがありません
もちろん、カルマくんをも上回るほどの力量を持っているにもかかわらず、あのクラスで一番活躍する場面はたくさんあった……だけどキミは、クラス全員が全ての分野で、得意な分野で活躍できるように手配していた」

『……………』

「どれだけ自分が目立たなくても、周りが目立つことによって、自分の可能性がこれだけではないと思わせること…先生はね、そんなキミの技量を見て、本当に驚きましたよ
先生よりも、先生をしている
ヒーローよりも、ヒーローをしていると」